金松:私の場合は電話で断ったので、まだなんとかなりました。でも実際に目の前で暴力的な態度に出られたら、怖くて「やります」と言ってしまったかもしれません。結局、引っ越しまでして逃げなければなりませんでしたし、実際に怖い思いをしていない人はなんでも言えるかな、と思ってしまいます。

◆「18禁グラドル」として活躍後に完全引退宣言

――そのあとはグラビアアイドルとしての活動開始ですか。

金松:一度芸能界を離れて、フリーターをしていた時期がありました。でも「芸能界でなにもできていない」という気持ちがあったので、グラビアアイドルとして復帰したんです。けっこう私も後先考えない部分があって、内容がどんどん過激になって「18禁グラドル」なんて呼ばれるようになっちゃいました(笑)。

――その後、2023年に芸能界から完全に引退を宣言していますね。もう「やりきった」と思えたんですか?

金松:18禁グラドルと呼ばれるようになって、お仕事の幅がすごく狭くなってしまったんです。過激すぎるお仕事はできないし、下着モデルみたいなキレイなイメージのあるお仕事もできないし、という状況で。

――アダルトなイメージがあると、そうなっちゃいますよね。

金松:写真集も出せたし、雑誌の表紙にもなったし、地上波のテレビにも出演できたし、やりたかったことは一通りやれたなと思って引退を決めました。

◆もう一度輝きたくてセクシー女優デビューを決意

――でもそのあと、セクシー女優としてのデビューを決意したのはなぜでしょうか?

金松:「やりたいことはやった」のは事実なんですけど、やっぱり自分に言い聞かせる感じでもあったんです。だから引退して昼職を始めてからも、友達とスタジオを借りて撮影をしたりしていました。でも満足できなくて……。だからって、グラビアアイドルとして再デビューはしたくない、そう思ったときに「MUTEKI」さんからオファーをいただいていたのを思い出したんです。

――グラドル時代にオファーは届いていたんですね。

金松:実は引退後もオファーをいただいていて。話を聞くだけでも聞いてみよう、と思って話を聞いて、デビューを決めました。

◆AV業界へのイメージは明るいものに

――でも出演強要の経験があって、AV業界に対してマイナスイメージはありませんでしたか?

金松:そうですね……。ただ、当時とは違って「AV新法ができた」という話は知っていました。それに三上悠亜さんや明日花キララさんみたいなセクシー女優さんが活躍していたのもあって、当時のイメージとはガラッと違っていましたね。むしろセクシー女優さんは、みんなかわいくてスタイルもいいので「私が同じ場所で戦えるの?」と思っていました(笑)。

――実際にデビューしてみていかがです、戦えそうですか?

金松:もう今年35歳になるんですけど、若い子とは違う魅力があるんじゃないかな、と思っています。大人の色気が好きな男性もたくさんいますからね。ルックスやスタイルは勝てないと思っていましたけど、自分の努力次第で戦える、と今は感じています。

――その覚悟があるからか、デビュー作は高評価ですね。やっぱりグラドル時代からのファンの方もたくさん見ているようで。

金松:「やっと出てくれたか」って感じですかね。でも「男優さんとカラんでいるのが見られない」って方もいて「早くヌードイメージDVDを出してほしい」と希望されました(笑)。

◆AV新法は女の子が出演するために大切な存在

――先ほどちょっとAV新法の話が出ましたが、やっぱりAV新法があったから安心してデビューできたんでしょうか?

金松:そうですね。この法律があれば出演強要はできない、というのを私自身がデビューのときに実際に感じたので。「私がどうしたいのか」、つまり自分の意思を尊重して出演できるのは、安心できる点ですよね。もし「やっぱりやめたい」となったときにやめられるのも、良いところだと思います。