すぐ集中できて、それが長続きする人は、共通して「ある3つのこと」をしているといいます(撮影:尾形文繁)

覚えられない、続けられない、頑張ってもなぜか成績が上がらない――勉強が苦手で、「自分は頭が悪い」と思い込んでいる人も、実は「勉強以前の一手間」を知らないだけかもしれない。

そう話すのは、中高生に勉強法の指導をしている「チームドラゴン桜」代表の西岡壱誠さんです。

「僕も昔はこれらの工夫を知らなくて、いくら勉強しても成績が上がらない『勉強オンチ』でした。でも、『勉強以前』にある工夫をすることで、『自分に合った努力のしかた』を見つけられて、勉強が楽しくなったんです。効果は絶大で、偏差値35だった僕が東大模試で全国4位になり、東大に逆転合格できました」

西岡さんをはじめとする「逆転合格した東大生」たちがやっていた「勉強以前の一工夫」をまとめた書籍『なぜか結果を出す人が勉強以前にやっていること』が、発売すぐに3万部を突破するなど、いま話題になっています。ここでは、東大生が勉強以前にやっている「集中力を高める方法」を解説します。

東大生は「すぐ集中」して「途切れない」

みなさんは、集中力が続くほうですか? それともすぐに切れてしまうほうですか?


勉強しているときでも仕事しているときでも、集中できれば一気に進むことが、なかなか集中できずにぜんぜん進まない、ということってありますよね。

一方で、やっぱり東大生は集中力が優れています。すぐに集中できて、そしてその集中がなかなか途切れることがないのです。

東大生はどうやって集中力を高めているのか? それは、勉強を始める前に3つのことを決めているからだと僕は思います。

今日は、その「3つのこと」をご紹介していきましょう。

まずは、明確な時間の制限、つまり「何時から何時まで集中して努力する」ということを決めるというものです。

集中力を高める方法1:明確な時間制限を決める

東大生って、休憩なしで何時間も勉強できる人……というイメージを僕は持っていたのですが、東大に入ってみると意外とそんなことないことに驚かされます。50分勉強したら10分休憩、というようなペースで休憩を取っている人がほとんどで、ノンストップで勉強するということはしません。

しかしその分、「この50分の間にこれを終わらせるぞ」という明確な時間制限を設けた努力をしているのです。

何かを終わらせるとき、みなさんは「時間制限」を設けていますか?

「これは絶対に1時間以内に終わらせよう!」みたいな目標を持って努力している人は、稀かもしれません。実はこれが、集中できるかどうかの分水嶺なのです。

集中は、目標があったほうがしやすいものです。「とりあえず数学を、やれるだけやろう」ではなく、「数学のこのページからこのページまでを30分で!」と明確な目標があったほうが、集中力は高まります。東大生が集中できるのは、明確な時間制限を設けて、その時間以内に終わらせることを目標にしているからなのです。

特に頭を使う作業などは、ゆっくり時間をかけて物事を考えていても、いつまで経ってもうまくいかないことが多いです。逆に、脳に負荷をかけて「速く」考えようとしたほうが、うまくいくのです。「頭の回転が速い」なんて言いますが、スピード感を持って実践したほうが、頭は動くわけですね。

次は、明確なゴールを決める、つまり「これが終わればOK」というものを明確に設けるということです。

集中力を高める方法2:明確なゴールを決める

みなさんが「集中できないな」と感じたとき、その原因となっているいちばんの要因は「ゴールが明確でないこと」であることがあります。

例えば「この作業、いつまでやってればいいんだよ」というものって、あんまり集中できませんよね。終わりが見えない状態がいちばん、集中できないのです。

「この仕事って、どうすれば終わりなのだろう」ということを明確にしていないと、別のことを考えてしまったり、やる気がなくなってしまったりして、集中力はあまり上がらないのです。

例えば「とりあえず筋トレをしよう」と筋トレしていても、いつまで筋トレをすればいいか、どれくらいの量の筋トレをすればいいのかがわかっていない状態では、集中力もやる気も落ちてしまいますよね。

この問題の解決策として考えられるのが、「これが終わればOK」というゴールを明確にすることです。

先ほどの筋トレの例でも、「30分で、腹筋を200回・腕立てを200回やろう」と数字で目標設定されているとしたら、やる気も出ますし、もしやっている中でだんだん集中力が落ちてきても、「あと10回で腹筋200回だ! 頑張ろう!」と集中力を取り戻せます。

ということで、集中したいときには、時間やゴールを区切って、「ここまで」という明確な目標があったほうがやりやすくなるものなのです。だからこそみなさんぜひ、努力をスタートする前に、数字で時間設定・目標設定するようにしてみてください。

最後は、「順番を決める」です。自分の目の前の仕事・勉強を、どういう順番でどうするのか、ということを明確にするのです。

集中力を高める方法3:明確な順番を決める

みなさんが「集中できない!」とお悩みのタイミングって、大抵の場合は「最初の5分」なのではないでしょうか。

「やり始めたら案外、集中できるけれど、集中し始めるまでが長い」ということってありますよね。

もっと言えば、「机について仕事や勉強を始めよう」と思うそのタイミングまでが長くなってしまって、なかなか集中できる状態まで持っていけない、ということもあると思います。PCを起動しても、「ああ、今日も仕事面倒くさいなぁ」と、ちょっとダラダラしてしまう、という人も多いのではないでしょうか。

だから、「最初の5分」の集中ハードルを下げる工夫をすればいいのです。

そのために重要なのは、その仕事・勉強の「明確な順番」を最初に決めてしまうということです。

例えば企画書作りなら、「1:まずはワードで企画書のテンプレートをダウンロードする」「2:次に項目を考えて記入する」「3:最初の項目から順番に内容を調べて記入していく」「4:最後の項目まで行ったらAさんに送付してチェックをしてもらう」「5:Aさんのフィードバックを受けて修正する」というように、その仕事を細分化して明確な順番を決めるのです。

参考書の問題を解く場合でも、「1:まずは10ページまでの問題を解く」「2:その採点を行う」「3:そこで間違えた問題はスルーして、20ページまで問題を解く」「4:その採点を行う」「5:間違えた問題を復習する」といった具合に、順番を整理するのです。

ただ「企画書作りをする」「問題を解く」というだけでは、集中力はあまり上がりません。

何をすればいいか、どうすれば終わるのかというイメージがつかず、先ほど申し上げた「終わりが見えない状態」に陥ってしまうからです。特に最初のうちは、終わりが見えないので、集中力があまり上がりません。

ですから最初に仕事の細分化を行い、明確にゴールまでの道筋をイメージするのです。「まずはこれを終わらせればいいんだ!」というものを明確に持つわけです。そうすると、まずはそこまで集中しようという気持ちになれます。

さて、これまでの話をうまく組み合わせて、この諸々の仕事の工程に時間制限を設けるという方法もおすすめです。「1:10ページまでの問題を、10分で解く」「2:採点を3分で終わらせる」「3:次の10ページの問題を15分で解く」「4:その採点を5分で終わらせる」と、それぞれの工程に時間制限を設けるのです。

「1時間で終わらせよう!」と思っても、「この仕事が1時間以内に本当に終わるのか」がわかるのって、残り時間が15分くらいになってきてからですよね。それくらいになって「やべえ! 終わらない!」と焦ってしまうわけです。

でもそうではなくて、それぞれの工程に目標時間が設定されていれば、最初から「あと3分で解き終わらないと!」と集中することができるようになります。

いかがでしょうか? 仕事や勉強をする前に、時間制限・ゴール設定・順番の3つを決めることで、集中力がアップするということですね。みなさんぜひ頑張ってみてください!

(西岡 壱誠 : 現役東大生・ドラゴン桜2編集担当)