2日前の予震が命運を分けた－対策を取った人、油断が生まれた人 - BLOGOS編集部

2022年3月30日 0時0分

※この記事は2012年05月29日にBLOGOSで公開されたものです

休石紫さん・翔くん（撮影：田野幸伸）写真一覧

被災地取材で岩手県大船渡市を訪れた編集部一行は、高台から町を撮影しようと場所を探していた時に、桜の下を散歩していた休石紫さん・翔くん親子に出会い、お話を聞くことが出来ました。震災当日はちょうどお話を聞いた高台へ避難していたそうです。【取材：BLOGOS編集部　田野幸伸・永田正行　取材協力：福田記子】

－震災当日はどちらにいらっしゃいましたか？

休石さん：（すぐ下の建物を指差して）そこのさいとう製菓さん（銘菓：かもめの玉子を製造）にいたんだよ。私はトラック運転手をしていて、14時30分頃、荷物を積むために到着したんだ。積む前に地震が来て、店の商品がボンボン落ちてきた。みんなで外へ出たんだ。信号が消えていたな。そして裏山（今いる場所）に逃げたんだ。

休石さんが直前までいたという、震災当日のさいとう製菓さん（youtubeより）写真一覧

銘菓「かもめの玉子」のさいとう製菓さん（4月下旬撮影）写真一覧

－みなさんご無事でしたか？

休石さん：3月9日に予震があったでしょ？（平成23年3月9日マグニチュード7.3）その時に、地震があったらどう逃げるか、話し合っていたんだ。仕事中でも作業を中止して逃げていい、って決めてあったから、すぐに逃げられた。事務所にいた人は助かったよ。それは良かったんだけど、その（3月9日の）時の津波が60センチだったから、（津波は大丈夫だろうと）逃げなかった人もいた。

－大したことないだろうと、思ってしまったんですね・・・

休石さん：国道まで水が来ていた時に「潮位6mを超えました」って防災放送がやっと流れて「遅いべ！」って思ったな。波が町を飲み込んで、1晩水が引かなかった。夜になって家に物を取りに行ってそのままさらわれた人もいたって聞きました。

高台から見た震災当日の津波の様子（youtubeより）写真一覧

高台から港を望む（岩手県大船渡市）写真一覧

休石さん：貯木場から木材が流されていって、その木材が町を壊してしまったんですよ・・・今はセメント工場（太平洋セメント大船渡工場）が再開したから、だいぶガレキはなくなりました。

－セメント工場でガレキを処理してるんですか？

休石さん：そうですよ、ガレキは燃やしてセメントの原料になるんです。
復興へがれき資源化／太平洋セメント大船渡工場製造部長・小池敦裕さん＝大船渡市－河北新報

－お子さんは今何歳ですか？

休石さん：1歳4ヶ月です。だから震災の時は、3ヶ月くらいかな。オムツと離乳食がなくて困りました。私の母は震災の時、たまたま東京の妹の所へ行っていて無事だったんだけど、お兄ちゃん（私）は死んじゃったと思ってたそうです（笑）。連絡つかなかったから。

－ご自宅は大丈夫でしたか？

休石さん：ウチは、海から離れた隣町だったんで、大丈夫でした。さいとう製菓さんも、主力工場は無事だったから、4月には生産再開出来たんだよね。専務が撮影した動画がYoutubeにアップされてるから、見てみるといいよ。ちょうど今立っているここから撮影したやつだから。

避難したという高台。動画もここから撮影された写真一覧