こんなの初めて!? 大規模クラシックカーイベント「パリ横断」が急遽中止になった意外な理由
今月最後のパリからのお話しは毎年1月と8月に行われている旧車の大イベント「Traversée de Paris ”パリ横断”」。本年1月の開催分はコロナ禍で中止が宣言された。そして、マスク着用義務やワクチンパスポートが廃止されたことで初めて3月にそれを実施する決定がなされ、春先のパリ横断の開催はヴィンテージカーファンを明るい気持ちにした。レトロモービルでも主催者のヴァンセンヌ旧車クラブが宣伝をしたり、SNSでも盛り上がっていた。
開催日の2日前に、参加者に渡すプレートなどを積めた袋を車一杯に詰め込んだ写真が主催者のSNSにアップされた。しかし「準備万端!」とアナウンスされた2時間後、パリ周辺の大気汚染が酷いことを理由に警視庁から開催を中止する要請があり、それを受けて主催者は即時中止を参加者や関係者にメールで連絡した。またもやパリ横断は中止となったのだ。コロナ禍が落ち着き(まだ新規感染者は日に14万人とか言ってるけど)、懸念するのはウクライナ情勢。まさか大気汚染が旧車のイベントを左右する事態になるとは。
【画像】パリ市内で開催されたイベント「サロン・デュ・ヴィンテージ」を訪れた(写真10点)
元々大気汚染が酷いパリ周辺。パリを含む5大都市では車をその排ガスのランクを6段階に分けている。インターネット上でナンバーを入力すると自分の車がどのランクであるかがわかる。この5大都市を通過するときはそのランクが書かれたステッカーを貼らなければいけない。例えばテスラのような完全電動車は”0”。プリウスのようなハイブリッド、低公害車は”1”。ヨーロッパでは主流なディーゼルは”5”といった具合だ。大気汚染の程度に合わせて「本日パリを通過できるのはレベル2まで」などと発表される。
また、この5大都市を平日に通過できる車はレベルに関係なく製造から20年までの車のみ。ちなみに僕の愛車BMW R1100Sは2000年製造。なのでパリには行けないのだ。ただし、30年以上経った車には”コレクション”というカテゴリーが取得できる。これを取得するとレベルに無関係でパリに入れるという、ある意味”旧車に優しい”道交法でもある。
さらに、土日はレベルに関係なく通過できる。なので、本来ならば日曜に開催されるパリ横断はまったく問題がないはず。ところが、ここ最近は大気汚染が酷い日が続いているので、700台を超える旧車がパリを走ることに「待った」がかかったというのだ。大気汚染を理由にすでに決定された旧車のイベントが中止になるのは初めてではないのだろうか?パリ横断は改めて開催されるのか?それとも8月まで待たなければいけないのか?どちらにしても残念である。
ということで、パリ横断が撮影できなくなったため、同じ週末にパリ市内で開催されたサロン・デュ・ヴィンテージを訪れた。ポスターはヘルメットをかぶった女性だし、プロモーションでは旧車が登場する。まあ、以前出かけたノルマンディーのヴィンテージショーのように車の参加は少ないと分かってはいたが…
会場は個性的なブティックが建ち並ぶマレ地区の、19世紀に建てられたキャロー・デュ・タンプルだ。ここ数日は快晴が続き春らしい天気もあって人出の多いパリ。初日の土曜日は長蛇の列だった。入場制限数も撤廃されているのでかなりの賑わいだ。古着やアクセサリーなどが大半を占め、モダン家具やコレクションとしてポスターやレコードなども人気だ。
車を持ち込んだのはフランスで人気の雑誌『AUTO HEROES』『MOTOHEROES』の編集部。子供達を見つけては旧車のシートに座らせたりして、現代の車とまた違った雰囲気を味わわせてあげていた。
さて、4月になるとモンレリサーキットでのイベントも始まる。パリから離れているので大気汚染は影響しないだろうけど、もう何が起こるか分からない世の中。平和に旧車を楽しめる世界がつづきますように。
写真・文:櫻井朋成 Photography and Words: Tomonari SAKURAI
【画像】パリ市内で開催されたイベント「サロン・デュ・ヴィンテージ」を訪れた(写真10点)
元々大気汚染が酷いパリ周辺。パリを含む5大都市では車をその排ガスのランクを6段階に分けている。インターネット上でナンバーを入力すると自分の車がどのランクであるかがわかる。この5大都市を通過するときはそのランクが書かれたステッカーを貼らなければいけない。例えばテスラのような完全電動車は”0”。プリウスのようなハイブリッド、低公害車は”1”。ヨーロッパでは主流なディーゼルは”5”といった具合だ。大気汚染の程度に合わせて「本日パリを通過できるのはレベル2まで」などと発表される。
また、この5大都市を平日に通過できる車はレベルに関係なく製造から20年までの車のみ。ちなみに僕の愛車BMW R1100Sは2000年製造。なのでパリには行けないのだ。ただし、30年以上経った車には”コレクション”というカテゴリーが取得できる。これを取得するとレベルに無関係でパリに入れるという、ある意味”旧車に優しい”道交法でもある。
さらに、土日はレベルに関係なく通過できる。なので、本来ならば日曜に開催されるパリ横断はまったく問題がないはず。ところが、ここ最近は大気汚染が酷い日が続いているので、700台を超える旧車がパリを走ることに「待った」がかかったというのだ。大気汚染を理由にすでに決定された旧車のイベントが中止になるのは初めてではないのだろうか?パリ横断は改めて開催されるのか?それとも8月まで待たなければいけないのか?どちらにしても残念である。
ということで、パリ横断が撮影できなくなったため、同じ週末にパリ市内で開催されたサロン・デュ・ヴィンテージを訪れた。ポスターはヘルメットをかぶった女性だし、プロモーションでは旧車が登場する。まあ、以前出かけたノルマンディーのヴィンテージショーのように車の参加は少ないと分かってはいたが…
会場は個性的なブティックが建ち並ぶマレ地区の、19世紀に建てられたキャロー・デュ・タンプルだ。ここ数日は快晴が続き春らしい天気もあって人出の多いパリ。初日の土曜日は長蛇の列だった。入場制限数も撤廃されているのでかなりの賑わいだ。古着やアクセサリーなどが大半を占め、モダン家具やコレクションとしてポスターやレコードなども人気だ。
車を持ち込んだのはフランスで人気の雑誌『AUTO HEROES』『MOTOHEROES』の編集部。子供達を見つけては旧車のシートに座らせたりして、現代の車とまた違った雰囲気を味わわせてあげていた。
さて、4月になるとモンレリサーキットでのイベントも始まる。パリから離れているので大気汚染は影響しないだろうけど、もう何が起こるか分からない世の中。平和に旧車を楽しめる世界がつづきますように。
写真・文:櫻井朋成 Photography and Words: Tomonari SAKURAI