7日、都内で就任記者会見に臨んだ松下電器産業の大坪新社長(撮影:常井健一)

写真拡大

6月下旬に新体制を発足させた松下電器産業<6752>は7日、東京都港区の東京パナソニックビルで、大坪文雄社長の就任記者会見を開いた。

 大坪社長は「目指す理想は『モノづくり立社』。開発、製造、販売を中心に社員全員で知恵の石垣を築く」と強調し、営業利益率5%の必達を就任初年度の目標として提示した。「NATO(No Action, Talk Only:口ばかりで行動しない)」を排した現場主義の姿勢で経営にあたり、海外市場での増販、コスト力の強化を図る観点で、◆薄型テレビ(売上目標1兆円)◆カーエレクトロニクス(同1兆円)◆白モノ家電(同3兆円)◆半導体(同6500億円)─の4事業を軸に2011年3月期で営業利益率10%を目指す3カ年の中期経営計画を07年1月に示すことを明らかにした。

 同社は、中村邦夫前社長(現会長)の下で6年間、「破壊と創造」を旗印に経営改革を推し進め、02年3月期の純損失4300億円という未曾有の危機から復活。06年3月期には15年ぶりに営業利益が4000億円台に達し、営業利益率は4.6%を実現した。成長戦略のかじ取りを任された大坪社長は、株主価値の増大やコスト削減など中村体制の継承を掲げながらも、「窮地は脱したが、危機は続くという緊張感は、これからの電機メーカーの経営に不可欠」と真剣な眼差しで語った。

 業績不振が続く連結子会社の日本ビクター<6792>については「基本は見守るが、相談があればノウハウを提供する」と経営支援に含みを持たせた。もうひとつの経営課題である、海外を大幅に縮小し国内強化を重点的に行っている携帯電話端末事業については「(第3世代携帯で一部協業する)NEC<6701>との提携効果を出すことが極めて大事。その後のいろいろな話は、まず自分たちの事業を強くしてから」と述べ、事業統合に踏み込む憶測をかわした。【了】