空気が乾燥しがちな冬は、エアコンなどの暖房により室内の湿度がさらに下がります。乾燥対策として、加湿器を使用している人も多いでしょう。しかし、加湿器を使い続けていると、嫌な臭いに気づくことがあります。嫌な臭いの原因は、加湿器内に繁殖しているカビや雑菌かもしれません。

そんなときは重曹を使って掃除するのがおすすめです。この記事では、重曹を使った掃除方法を紹介します。

加湿器の汚れはカビ・雑菌と水垢

汚れた加湿器を使い続けると部屋にカビ・雑菌を撒き散らすことに(画像素材:PIXTA)

加湿器には超音波式や気化式、スチーム式などさまざまなタイプがありますが、いずれも水を空気中に放出させて加湿します。水しか使用しないので、清潔なイメージがあるかもしれませんが、実は加湿器内部は汚れやすい環境です。汚れを放置しておくと空気中に汚れが拡散してしまい、体調不良を引き起こすこともあります。加湿器の汚れには、大別すると以下の2つがあります。

カビ・雑菌

加湿器の汚れの一つが、カビや雑菌などによるものです。ピンク色で、ぬめりのある汚れがあれば、それは「赤カビ」です。浴室や洗面台などの水回りに出やすく、酵母菌の一種で正式名称を「ロドトルラ」といいます。高温多湿の場所を好み、繁殖力が強いのが特徴ですが、アルカリ性に弱いため、重曹で掃除をすると比較的簡単に除去できます。

「赤カビ」に比べて除去しにくく、厄介なのが「黒カビ」です。空気中に胞子を飛ばし、アレルギーや喘息を引き起こすなど人体に悪影響を及ぼします。湿度や気温、養分などの条件がそろえば、水回りのほか家の中のあらゆる場所に発生し、素材に根を張って奥まで入り込むのが特徴です。根が残りやすい「黒カビ」も、重曹を使って掃除することができます。

水垢

もう一つの加湿器の汚れの原因は、水垢です。水道水に含まれているミネラル分やカルキなどの成分が水分の蒸発により固形化したもので、加湿器内部に白い粉状や塊状で付着します。水垢は放置すると、内部にどんどん溜まって故障の原因になるので、定期的に掃除して除去する必要があります。

水垢汚れはアルカリ性なので、酸性のものを使うと落ちやすくなります。重曹(炭酸水素ナトリウム)はアルカリ性なので、水垢汚れの掃除には適しません。弱酸性のクエン酸などを使いましょう。

重曹を使った加湿器の掃除方法

カビや雑菌落としに有効な重曹(画像素材:PIXTA)

加湿器のカビや雑菌を落とすには重曹(炭酸水素ナトリウム)を使うと便利です。重曹は、食品添加物や入浴剤などとしても使われています。また、ほかの洗剤に比べてコスパも良く、スーパーやドラッグストアなどで入手できるので安心して使えます。重曹を使った掃除の方法を解説します。

重曹水を沸騰させる

重曹を掃除に使う際は、まず水に溶かした重曹水を作ります。重曹水は熱することでアルカリ性が強くなるので、洗浄能力が高まります。掃除する前に加熱しておきましょう。水1リットルに対し、重曹50グラム程度を溶かし、沸騰させます。鍋を使って温めてもよいですが、レンジを使うと簡単です。手で触れても熱くない程度に冷ましてから使いましょう。

部品を外す

次に、加湿器のフィルターやトレイなど、汚れが目立つ部品を外します。水垢汚れは重曹水よりクエン酸を使うほうが効果的です。汚れの種類を見定めて、重曹水による掃除が効果的な「赤カビ」「黒カビ」汚れのものを選んで分けておくとよいでしょう。

重曹水で30分から1時間ほどつけ置きする

シンクや洗い桶、バケツなどに重曹水を注いで、外した加湿器の部品を30分~1時間程度つけ置きします。外せない部品や、本体の外側の汚れが気になる場合は、スプレーボトルに重曹水を入れてスプレーするとよいでしょう。

さらに、黒カビなどの頑固な汚れには「重曹ペースト」を試してみましょう。重曹と酸素系漂白剤(過炭酸ナトリウム)を1:1の割合で混ぜたものに、50度くらいのお湯を少しずつ混ぜてペースト状にして、汚れが気になる部分に塗ります。1時間程度置いた後、流水で流します。

スポンジや歯ブラシで汚れを落とす

つけ置きしても、部品に汚れが残っていたら、スポンジや歯ブラシなどでこすり洗いをしてみましょう。つけ置きで汚れが取れやすくなっているので、強くこすらなくても、汚れは落ちるはずです。

あわせて、水垢汚れのある部分もクエン酸を水に溶かしたクエン酸水などを使って洗っておきましょう。

流水ですすぐ

つけ置き後は、水ですすぎ洗いをします。重曹が残らないようにしっかりすすぎましょう。

乾燥、取り付け

すすぎが終わったら、清潔な布巾などで拭き、しっかり乾燥させます。乾燥後は元通り組み立てれば掃除完了です。

加湿器の掃除は週に1回程度は行うようにしましょう。タンク部分は毎日の給水の際に外側を丸洗いし、内側は少量の水道水を入れて振り洗いすると、清潔な状態を保ちやすくなります。

加湿器を清潔に保つ注意点

加湿器は掃除以外にも、清潔に保つために注意したいことがあります。使用するうえでの注意点は以下の通りです。

必ず水道水を使う

加湿器には必ず水道水を使うこと(画像素材:PIXTA)

加湿器のタンクに入れる水は、必ず水道水を使いましょう。水垢が付着するのを避けるために、浄水器を通した水を使う人がいますが、カルキを含んでいない水は逆にカビや雑菌が繁殖しやすくなるのでやめましょう。また、タンクの蓋部分は手を触れるため、皮脂などが付きやすくなります。蓋を閉めた後にこの部分を洗ってから本体にセットするようにしましょう。

タンクの水は毎日交換

タンクの水は必ず毎日交換しましょう。加湿器は、水を空気中に放出させる方法によって超音波式、気化式、スチーム式、ハイブリッド式の主に4つのタイプに分けられます。いずれのタイプも水タンクがあるので、タンクの水交換は必要です。水の中に雑菌が混じっていた場合、雑菌も一緒に部屋の中にまき散らしてしまうことになります。

水を交換する際は、タンクに少量の水を入れた状態で振り洗いをすると、タンク内を清潔に保てます。

シーズンオフの収納方法

加湿器は、湿度が上がる梅雨以降の季節は不要です。オフシーズンになったら、次のシーズンまで出しっぱなしにせず保管しておきましょう。保管する際のポイントは、必ず丁寧に洗って、十分に乾燥させることです。乾燥が足りないとカビが発生しやすくなります。また、保管場所も湿気のない場所を選ぶようにしましょう。

まとめ

乾燥しがちな冬には大活躍する加湿器ですが、こまめに掃除をして清潔に保つようにしないと、カビや雑菌が繁殖してしまいます。重曹を使った掃除はそれほど難しくありません。重曹はほかの洗剤に比べて環境に優しく、コスパも良いうえに加湿器以外の掃除にも使えます。この冬は重曹掃除にチャレンジして、加湿器を清潔に保ちましょう。