元漫才師の野々村友紀子、『バイキング』裏方から出演者に「主婦の声を代弁したい」
「芸人なら毎日、目から血ぃ出るくらい、おもろいこと考えろっ!!」
【写真】野々村友紀子と「2丁拳銃」川谷、夫婦の仲良しショット
夫である2丁拳銃の川谷修士の相方・小堀裕之への辛らつすぎるダメ出しがウケ、テレビに出る機会が増えた野々村友紀子。かつては将来を期待された女性漫才師として活動していた。
「以前の相方とは小学校時代からの友達でした。“大人になっても一緒に仕事したいな”という話になり、それなら漫才師しかないと吉本の本社へ。警備員さんに“芸人になりたいねんけど”と言ったところ、NSC（吉本興業の養成所）のチラシを渡され、入学することに」
同期には中川家や陣内智則、ケンドーコバヤシなど売れっ子がズラリ。その中でも独創的な野々村のボケは高い評価を受け、お笑いファンの間では知られた存在に。
「今のように女性芸人は多くなかったので、男性芸人と少しでも仲よく話しているとファンの方から嫌がらせされていましたね。文句の手紙が届くのはまだいいほうで、劇場から出てきたら汚い液体をかけられたり、封筒をあけたらありとあらゆるお菓子のカスが入れられていたり……」
コンビ解散で引退、就職
全国進出も期待されていたデビュー8年目のとき、元相方の家庭の事情もあり解散を余儀なくされる。
「もともと元相方と一緒に仕事をしたいという理由で芸人を始めたので、彼女以外と組むのは考えられなかった。10代からお笑いの世界に入り、社会経験がなかったこともあり、テレビで見るOLに憧れていたんです。それで引退して就職することにしました」
その才能を買っていた同期や先輩、吉本の社員からは慰留されたというが、求人情報誌で見つけたアットホームな会社へ就職することに。
「いざ働いてみると、コピーすらうまく取れない。気づけば唯一、得意だった運転を生かした外回りばかりになって……。イメージしていたOLと違うなぁと退社を考え始めていたところ、大阪の吉本の方から声をかけていただき、放送作家として再びお笑いに関わることになりました」
すでに交際を始めていた、夫の川谷の声も後押しになったという。
「芸人としては1期後輩なのですが、交際前から私のことを面白いと尊敬してくれていて。放送作家になろうか迷ったときも“絶対にお笑いに関わる仕事をしたほうがいい”と言ってくれましたね」
芸人時代に高い評価を受けていたこともあり、放送作家に転身した初日からテレビの仕事を任されるように。
「テレビ局で会議があるから……と、いきなり企画を10個考えてくるように言われましたね。芸人のネタを考えたり、ロケに同行したりするようになり、一気に芸人時代より忙しくなりました」
働き方改革が導入される前だったこともあり、寝る暇もない日々が続いたという。
「深夜3時まで会議をしたかと思えば、翌日の朝7時からまた会議……といった生活だったので、寝袋を借りて会議室で寝ることもありましたね。本当にヤバイときは会議をこっそり抜け出して、トイレで仮眠を取ったことも」
大阪でアイドル的人気を誇っていた2丁拳銃は2000年に東京進出。しばらくは遠距離で愛を育んだ。
「東京進出後も、旦那が大阪にレギュラー番組があった関係で週に1回は会えていたんです。番組が終わることになったとき、“結婚して一緒に東京に来ないか”と言われ、結婚式の翌日に私も上京することにしました」
長女を妊娠した2006年に休業に入り、2008年には次女も誕生。子育てを優先した結果、放送作家を6年ほど休業することになる。
「育休を取った女性の社会復帰の難しさだったり、育児中の世の中から取り残されたような寂しさは私自身も感じていたのでよくわかりますね。コメンテーターの仕事では、そういった主婦の悩みなどについて意見することもあるので、休業した期間があってよかったと思っています」
『バイキング』で作家から出演者に
2012年に仕事を再開。“プライベートでは昔からしていた”という、夫の相方である小堀裕之へのダメ出しぶりを番組で披露したところ大ウケ。
「一度芸人を辞めた人間なので、テレビに出演するのは頑張っている同期や後輩に申し訳ない気がして乗り気ではなかったんです。でもテレビの制作をやっていたから、オファーされることがいかに光栄なことかも痛いほどわかっていたし、何より2丁拳銃の出番が増えるならと出演することにしました」
出演する機会も増えた2018年、作家として関わっていた『バイキングMORE』（フジテレビ系）からコメンテーターとしてオファーを受ける。
「放送作家として関わっていたころから、会議では“野々村さんが出たらいいのに”と半分冗談で言われていましたね。番組リニューアルの際に作家としてははずれることになったのですが、“出演者としてどうですか？”と声をかけていただきました」
裏方として関わっていたからこそプレッシャーも大きかったと続ける。
「どれだけスタッフが頑張って作っているかも知っていたし、キャスティングを見ると自分に求められている役割がわかるんですよね（笑）。わかるからこそ、番組の期待に応えられているかのプレッシャーがすごかったです」
夢は夫婦で旅番組のレギュラーを
そんな不安をよそに視聴者の支持を集め、中京ローカルの『チャント！』（CBCテレビ）でのレギュラー出演も決定。今やワイドショーには欠かせない存在に。
「もともと家で旦那とワイドショーを見ながら、テレビにツッコミを入れていたので、やっていることは視聴者時代から変わらない（笑）。なるべくフラットでいたいので、番組でスタンスは変えないようにしていますが、バラエティ要素の少ない報道番組だと自然と背筋が伸びますね」
コメンテーターの仕事が多忙になったことで、放送作家の仕事は現在では2割程度に。
「舞台が中心だった旦那はコロナ禍でスケジュール的に余裕が出たこともあり、家事や育児を多くやってくれるので助かっています」
夢は夫婦で旅番組のレギュラー番組を持つことだという。
「2丁拳銃にはもっと頑張ってもらいたいですが、まずは小堀が頑張らなきゃいけないので（苦笑）。もし2丁拳銃が番組でMCをする日がくるなら、そのときはゲストに呼んでほしいですね」
最後に女性読者にこんなメッセージを。
「子育ての苦労を知っているからこそ、細かい“主婦あるある”を織り交ぜた私のトークが家事の息抜きになってくれたらうれしいですね。余裕があれば2丁拳銃のネタもチェックしてください（笑）」
