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 カルディに行くと、時々「何これ?」と、つい手にとってしまう珍妙な商品に出くわします。先日、ジャム類が並ぶコーナーで見つけたトースト用クリーム「ぬって焼いたらカレーパン」がまさにそれ。

 イチゴジャムやアンズジャム、マーマーレード、チョコレートクリームなど、甘い商品の棚の下にそれを見つけた時は、ちょっと口の中が変な感じになりました。パッケージには、いわゆる揚げたカレーパンのイラストが描かれています。

カルディオリジナルの「ぬって焼いたらカレーパン」306円(税込)

 トーストにぬって焼いただけでこんなカレーパンができるのでしょうか? そんなわけないですよね。パン生地をこねて丸めて、中にカレーを入れて、油で揚げて、初めてカレーパンを名乗ることができるはず。

 もちろん、パッケージには「※イラストはイメージです」と注意書きがありますが、人間だれしも、文字よりも見た目のインパクトのほうが心に刺さるものです。「こんなカレーパンには絶対にならない」といくら頭で理解しても、カボチャが馬車になる話と同じように、「こんなカレーパンができるのかも」とメルヘンな気持ちになるわけです。

 というわけで、つい買ってみることにしました。しかも2個。なぜ2個かというと、カルディのヒット商品はすぐ売り切れて買えなくなるから。つまり、相当、期待していたのです。

果たしてぬっただけでカレーパンになるのか?

2個も買ってきたが、果たして美味しいのか…?

 自宅で開封してみると、「お召し上がり方」が書かれています。いわく「パンにクリームをぬってオーブン皿にのせ、オーブントースターで焼いてください」とのこと。

 内ブタをはがすと、中はホイップ状。カレーの香りが漂います。ちょっと舐めてみると、「うっ」と声が漏れました。クリームの味は薄く、油っぽく、じゃりじゃりしており、正直言ってあまり美味しくありません。いや、むしろマズくないか、これ…。

内ブタを開けるとこんな感じ

「これは大ハズレだったか…? そもそも、こんなクリーム1個で、揚げたてのカレーパンになるわけがない。自分はどうかしてた。しかも2個も買っちゃったぞ…」。そんな後悔の念が頭を駆け巡りますが、まだ焼いていないので結論は出せません。

 ちなみに内容物を確認すると、ショートニング、マッシュポテト、カレーシーズニング、乾燥タマネギ、フライドオニオン、トマトパウダーなど。肉が入っていないし、クミンやコリアンダーなどカレーの定番スパイスもないし、美味しい要素が見当たりません。ホントに大丈夫なのか?

クリームなので柔らかくてとても塗りやすい

 ともあれ、気を取り直して大量にパンに塗りたくりますが、よく見ると「ぬりすぎ注意」と書かれていました。「何だよ、ぬり過ぎって。一体どれくらいが適量なんだよ!」と、心はさらにすさんでトゲトゲしくなっていきますが、とにかくトースターで焼いていきます。

焼くとさらにカレーのいい香りが漂います

 やがてカレーの匂いが部屋に蔓延し、トースターの中を覗いたら、こんがりしていたので出してみました。当たり前ですが、イメージイラストのような揚げパンスタイルのカレーパンにはなっていません。ただ、香りはかなりスパイシーで美味しそう。

トーストでこんがりしたので取り出しました

 そこで、ひと口かじってみると…あ~ら不思議というか、じゃないと困るというか、カリカリ&サクサク。カレーのスパイシーな風味が口中に広がります。食感だけでなく、フライドオニオンやトマトの旨みが立ち、脂っこさも消え、しっかり揚げたカレーパンのような味がするのです。さっきつまみ食いした生の味とはうって変わって美味しい! 確かに商品名どおり、「ぬって焼いたらカレーパン」になったのです。

このパンにチーズをのせたり、コロッケを挟んだりして、色々な応用ができそうです

 加熱する前はグチグチと文句ばかり言いましたが、結局、このカレーパンに、チーズやコロッケをのせたりして毎日家族で楽しんでいたら、あっという間に2個使い切ってしまいました。そしてまた買います。皆さんも一度ぜひお試しを。でも、くれぐれも、生で食べるべからず、ですよ。

(撮影・文◎土原亜子)