By Simon

「Cliqz」はプライバシー指向を打ち出したウェブブラウザで、クラウドソースによるトラッキング防止システムとユーザーの個人情報を抜いた閲覧履歴などを元に行動ターゲティング広告を表示する「独自の検索エンジン」を搭載しています。開発チームは独自の検索エンジンを開発する理由について、「Googleの情報独占」が原因だと語っています。

The world needs Cliqz. The world needs more search engines.

https://www.0x65.dev/blog/2019-12-01/the-world-needs-cliqz-the-world-needs-more-search-engines.html

「検索エンジン」を設計・運営するコストは非常に莫大であるため、「独立した検索エンジン」といえるのはGoogle、Bing、Yandex、Baiduなどごく少数です。Googleを規制している中国を例外とすれば、全世界の検索においてGoogleの使用率は93%にも達しています。残りの7%は「非Google検索エンジン」といえますが、例えばYahoo! Searchの中身はBingであるように、Startpageやask.comなどの検索エンジンはGoogle検索エンジンの検索結果を利用しているため、「実際のGoogle検索エンジン利用率」は93%よりも高くなります。

また、Googleを利用する人々の「『検索結果』だけを読み、ページのリンクをクリックしない」という傾向は近年加速しています。ネットマーケティング企業SparkToroは、2019年6月に「Google検索でページのリンクをクリックしない人の割合が50%を超えた」と発表しました。

Less than Half of Google Searches Now Result in a Click | SparkToro

https://sparktoro.com/blog/less-than-half-of-google-searches-now-result-in-a-click/



この結果は、多くの人々がGoogleの検索結果だけを見て情報を得ているということを意味しています。この事実に対して、Cliqz開発チームは「Wikipediaならばコミュニティによる内容の確認や引用元の表示などが存在しますが、Googleの検索結果にそういった内容確認は存在しません。Googleの検索結果には、『間違った内容のページ』も含まれます」と指摘。間違った内容のページの他にも、検索結果にはページが本当に伝えたい内容とはかけ離れた「ページ中のごく一部」が抜粋で表示されることもあります。検索結果は、事実ではなかったり、ページの意図とはかけ離れていたりするわけですが、「Googleに表示されているのだから事実である」と信じられてしまう点が問題として指摘されています。

また、Cliqz開発チームは「Google独占の状態は検閲につながる」とも主張しています。Googleは中国当局による検閲機能を付加した検索エンジン「Dragonfly」の開発を進めていたこともわかっています。

Googleが中国向けに検閲機能付きの検索エンジンを開発していたことが判明 - GIGAZINE



by bfishadow

DragonflyはGoogleのピチャイCEOが「リリース予定はない」と公聴会で証言していながらもこっそり開発を続けていたことも報じられ、多数の批判が集まりました。そういった紆余曲折の末に、GoogleはDragonflyの「プロジェクト中止」を公式の場で明言しました。

さらに、Googleが多数のトラフィック情報を監視できる立場にいることから、「個人情報を得られる」ことも問題です。Cliqz開発チームはGoogleがトラフィックの82%をトラッキングしているという調査結果を挙げ、得られた個人情報によって検索結果をゆがめることが可能であることから、Google検索エンジンを「Googleが実際にプロパガンダを実行するかどうかはさておき、Google検索エンジンはプロパガンダのための完璧な媒体」と評しています。



By 377053

Cliqz開発チームはGoogleの影響力が検索結果だけにとどまらないとも指摘します。アメリカのウェブマーケティングリサーチ企業eMarketerは、Googleは2018年度のアメリカにおけるデジタル広告費用の約38%を得ていると報じました。Googleが2018年にパートナー企業に支払った総額は267億ドル(約2兆9000億円)とのことで、Cliqz開発チームは「養ってくれる企業の手をかむのは難しい」と述べて、Googleの影響力が産業全体で強まっていると論じています。

Google製品がどれほど優れていて、Googleがどれだけ良いことを行ったとしても、「Googleの独占」が問題だというのがCliqz開発チームの主張です。Cliqz開発チームは独自検索エンジンの開発を「圧倒するほど巨大にみえるほど困難で、不可能に見える」と表現しながらも、「解決する必要がある」と述べて、取り組んでいく決意を明らかにしています。

約100人のチームが5年の期間を掛けて開発したCliqzの独自検索エンジンのベータ版は以下で利用可能になっています。

Cliqz

https://beta.cliqz.com/