世代を超えて熱烈なファンを数多く持つ歴史小説界の巨星・司馬遼太郎が、幕末の風雲児と呼ばれた、越後長岡藩家老・井継之助を描いた作品「峠」。

累計発行部数は284万部を超える大ベストセラーとなっており、本作はこれまで一度も映画化、ドラマ化をされたことがなく、『峠 最後のサムライ』として今回が初めての映像化される。公開は2020年を予定。日本の歴史が大きく動いた幕末を、日本を代表するキャスト・スタッフにより、壮大な戦いと共にスクリーンに映し出される。

監督・脚本には黒澤明監督の助監督として数々の名作に携わり、初監督作品『雨あがる』で第24回日本アカデミー賞最優秀作品賞ほか、計8部門で最優秀賞を受賞し、常に上質な日本映画を送り出してきた、日本映画界の名匠・小泉堯史。

“知られざる偉人”河井継之助を演じるのは、日本映画を代表する俳優・役所広司。その継之助をいかなる時も信じ、支え続けた妻おすがには、数々のテレビ・映画・舞台で活躍を続ける女優・松たか子。継之助を最後まで想い続けた、その夫婦愛も本作の見どころのひとつ。

黒澤監督作品常連の演技派俳優から、新進気鋭の若手キャストまで、錚々たるメンバーが出演する。

映画『峠 最後のサムライ』あらすじ

徳川慶喜による大政奉還も奏上され、260年余りに及んだ江戸時代が終焉を迎えた幕末。そんな動乱の時代に、幕府にも官軍にも属さず、小藩・越後長岡藩の中立・独立を目指した男、河井継之介。彼の壮大な信念は、混沌を迎えた日本を変えることができるのか?

藩の運命を賭けて混乱期を生きた“最後のサムライ”と、彼を支え続けた妻との深い愛情。そしてリーダーとしての彼を信じ、運命を共にしようとする男たちの熱い絆。

映画『峠 最後のサムライ』キャスト

河井継之助/役所広司

戊辰戦争時、最後まで官軍を苦しめ、信念をもって激動の幕末を生きた、“最後のサムライ”

1956年、長崎県出身。 『KAMIKAZE TAXI』(95)で毎日映画コンクール主演男優賞を受賞。『Shall we ダンス?』(96)、『眠る男』(96)、『シャブ極道』(96)で国内映画賞にて主演男優賞を独占。また、東京国際映画祭主演男優賞を受賞した『CURE キュア』(97)他。 2018年、『関ヶ原』『三度目の殺人』で日本アカデミー賞優秀助演賞を受賞。後者では最優秀助演賞も受賞した。近作は『孤狼の血』(18)がある。

役所広司コメント

美しい映画を求め続ける小泉監督作品に再度参加できることはこの上ない幸運です。世界中で知られている「サムライ」という美的人間の代表でもある河井継之助を背筋を伸ばし、気持ちを引きしめて撮影に臨みたいと思います。

おすが/松たか子

継之助の妻。最後の最後まで夫を信じ、支え続ける。

1977年、東京都出身。岩井俊二監督作品『四月物語』(98)で映画初出演にして初主演を飾り、『ヴィヨンの妻 〜桜桃とタンポポ〜』(09)で第33回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞に輝く。主な映画出演作品に、『小さいおうち』(14)、『ジヌよさらば 〜かむろば村へ〜』(15)、『HERO』(15)など。

松たか子コメント

出演させていただけること、大変光栄に思っています。継之助さんの夢の邪魔をせぬよう、役所さんの足を引っ張らぬよう、、、先輩方から学べることに感謝しながらつとめさせていただきます。

牧野忠恭(雪堂)/仲代達矢

長岡藩の先代藩主。継之助を重用し、隠居した後も藩の命運を彼に託す。

1952年、俳優座演劇研究所付属俳優養成所に4期生として入所。映画界では、小林正樹監督に見いだされ、「人間の條件」6部作(59〜61)や『切腹』(62)などで主演を務め、黒澤明監督の『影武者』(80)、『乱』(85)にも主演。日本映画界に欠かせない存在となる。芸術選奨文部大臣賞など数々の演劇賞を受賞。

仲代達矢コメント

時代劇の中ではよく信長や信玄がもてはやされますが、私はタヌキオヤジと言われながら二百五十年余の日本の平和を築いた家康の方が本来の侍の様な気がしています。今回の作品でもそうした侍の在り方が問われるでしょう。

河井代右衛門/田中泯

継之助の父。息子夫婦の行く末を案じ続ける。

世界的な前衛舞踏家。クラッシックバレエとモダンダンスを学び、暗黒舞踏の創始者である土方巽を師と仰ぐ。60年代にモダンダンサーとして活動を始めるが、従来のダンス界に反発し、独自の活動を展開。78年、仏パリの秋の芸術祭で海外デビューを果たして以降、世界各地でも発表を行う。舞踏、オペラ、演劇、美術展で振り付けや演出、出演をこなすほか、ジャンルを超えた多岐に渡る表現活動で芸術家だけでなく学者にも影響を与える。『たそがれ清平衛』(02)で初めて映像作品に出演し、日本アカデミー賞の最優秀助演男優賞と新人俳優賞を受賞。以降、俳優としても活躍し、『隠し剣 鬼の爪』(04)、『八日目の蝉』(11)、『永遠の0』(12)、『47 RONIN』(13)、などに出演。

お貞/香川京子

継之助の母。義娘のおすがを特にかわいがり、案じる。

女学校卒業後の49年、新聞社主催のオーディション「ニューフェイス・ノミネーション」に合格し、新東宝に入社。『窓から飛び出せ』(50)で女優デビューする。清楚な美しさと飾らない演技で人気を博し、今井正監督の『ひめゆりの塔』(53)、小津安二郎『東京物語』(53)、溝口健二監督の『近松物語』(54)と日本映画史に残る名作で活躍。『翼は心につけて』(78)、『式部物語』(90)で日本アカデミー賞の優秀助演女優賞を受賞、『まあだだよ』(93)で同最優秀助演女優賞に輝いた。近年の出演作に『東南角部屋二階の女』(08)、『インターミッション』(12)など。

小山良運/佐々木蔵之介

<継之助の盟友であり、良き相談相手。

京都の造り酒屋で生まれ育つ。連続テレビ小説『オードリー』(00)で注目を浴び、『Jam Films 『HIJIKI』』(02)で映画に初出演する。以降、『間宮兄弟』(06)や『アフタースクール』(07)といった話題作で活躍し、時代劇コメディ映画『超高速!参勤交代』(14)では殿様役で主演し話題を呼んだ。

小山正太郎/坂東龍汰

良運の息子。武士の息子でありながら、継之助にその才能を認められる。

舞台「三人姉妹はホントにモスクワに行きたがっているのか?」(18)で初舞台を経験。音楽映画 『EVEN〜君に贈る歌〜』(18)、『12人の死にたい子どもたち』(19)、『閉鎖病棟 それぞれの朝』に出演。

松蔵/永山絢斗

継之助の従者として、主の命を第一に動き、最後まで付き添う。

新垣結衣主演の『フレフレ少女』(08)で映画デビューを果たす。初主演映画『ソフトボーイ』(10)で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞し、『ライアーゲーム ザ・ファイナルステージ』(10)や『悪人』(10)など話題作に相次いで出演。『ふがいない僕は空を見た』(12)で主演を務める。近年の出演映画に『真田十勇士』(16)、『海辺の生と死』(17『エルネスト』(17)などがある。

むつ/芳根京子

継之助が懇意にする旅籠屋の娘。幼い時から知っている継之助を信じ続けている。

高校1年生の時にスカウトされ、芸能界入り。TVドラマ『ラスト・シンデレラ』(13)で女優デビューを果たす。初主演映画『物置のピアノ』(14)や、『幕が上がる』(15)などの出演を経て、映画『わさび』(17)、『累 かさね』(18)、『今日も嫌がらせ弁当』(19)などで主役・準主役を務める。その他の映画出演作に『64 ロクヨン』2部作(16)、『心が叫びたがってるんだ。』(17)、『散り椿』(18など。

川島億次郎/榎木孝明

長岡藩士。当初は継之助の案に反対するが、最後は彼と生死を共にすることを誓う。

連続テレビ小説『ロマンス』(84)でテレビデビューを果たし、以来舞台やテレビ、映画、ラジオ等様々な分野で活躍している。近年映画出演には『ふたつの昨日と僕の未来』(18)、『きばいやんせ!私』(19)、『ライフ・オン・ザ・ロングボード 2nd wave』(19)などがある。

花輪求馬/渡辺大

長岡藩士。殿に使える側近として、共に戊辰戦争に臨む。

名優・渡辺謙を父に持つ俳優。『県警強行殺人班 鬼哭の戦場』(07)で初主演。『クローズZERO』(07)、『ロストクライム−閃光−』(11)、『日本のいちばん長い日』(15)など出演。

松平定敬/矢島健一

慶喜に従う大名。大政奉還の場でその文章を読み上げた。

岐阜県の生まれ。明治学院大学法学部を卒業後、東宝現代劇研究所、TBS緑山塾で演技を学ぶ。北野武監督『ソナチネ』(93)の主人公の狡猾な兄弟分のやくざ、滝田洋二郎監督『陰陽師』(01)の勢力争いの渦中で勝者の余裕すら漂わす公家、樋口真嗣監督『日本沈没』(06)の対外交渉に懸命な外務大臣など、いかなる役柄にもなじむ適応力を持ち、多彩に演じ分ける。

老人/山本學

激戦の最中、継之助が出会った百姓。彼と出会った継之助は戦争の虚しさを強く感じる。

大阪・茨木市生まれ、東京育ち。俳優座養成所を卒業後、59年から劇団新人会に所属。演劇だけでなく映像作品にも活動の場を広げ、映画『刺青』(66)や『雁』(66)、『戦争と人間』2部作(70、71)、『金環蝕』(75)に出演。舞台で活躍する一方で、映画『四十七人の刺客』(94)、『梟の城』(99)、『永遠の0』(13)などでもバイプレイヤーとして活躍する。

月泉和尚/井川比佐志

攻め込まれ、逃げ場を無くしたおすがと両親を受け入れる。

俳優座に入団後、映画『おとし穴』(62)に主演し注目される。『どですかでん』(70)『乱』(85)『八月の狂詩曲』(91)など、黒澤明作品の常連でもあり、確かな演技力が光る庶民派のバイプレイヤーとして多くの映画やドラマで活躍している

徳川慶喜/東出昌大

徳川幕府、最後の将軍。朝廷に政権を返上し、260年余りに及んだ江戸時代を終焉させた。

『桐島、部活やめるってよ』(12)で映画デビュー。『クローズEXPLODE』(14)で映画初主演し、『寄生獣』2部作(14)で主要キャストに抜てきされる。以降、『アオハライド』(14)、『GONIN サーガ』(15)、『デスノート Light up the NEW world』(16)など主演作が相次ぎ、難病と闘った棋士・村山聖の半生を描いた『聖の青春』(16)では羽生善治役を演じて高く評価された。その後も、『関ヶ原』(17)や『OVER DRIVE オーバードライブ』(18)などで活躍。近年の出演映画に『ビブリア古書堂の事件手帖』(18)、『コンフィデンスマンJP』(19)がある。

岩村精一郎/吉岡秀隆

官軍に属する土佐藩士。継之助の願いを一蹴したことで、長岡藩は戦うことを選んだ。

4歳で劇団若草に入団し、映画『八つ墓村』(77)でデビュー。TVドラマ「北の国から」(81)シリーズの純役で、名子役として絶大な人気を集める。山田洋次監督の映画「男はつらいよ」シリーズの27作目『浪花の恋の寅次郎』(81)から最終作『寅次郎ハイビスカスの花〈特別篇〉』(97)まで、寅次郎の甥・満男役を演じる。『学校II』(96)『虹をつかむ男』(96)、『隠し剣 鬼の爪』(04)にも出演した。 山崎貴監督作『ALWAYS 三丁目の夕日』(05)と、その続編『ALWAYS 続・三丁目の夕日』(07)で、日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞。

映画『峠 最後のサムライ』監督・脚本

小泉堯史

1944年、茨城県水戸市出身。1970年に黒澤明監督に師事し、28年間に渡り助監督を務め、公私ともに支え続けた。黒澤監督の遺作脚本『雨上がる』(00)にて監督デビュー。この作品でヴェネツィア国際映画祭の緑の獅子賞、日本アカデミー賞優秀作品賞をはじめとする8部門で受賞。その後、『阿弥陀堂だより』(02)、『博士の愛した数式』(06)、『明日への遺言』(08)、『蜩ノ記』(14)を監督。それぞれの作品で日本アカデミー賞など数々の賞を受賞している。また2018年公開『散り椿』では脚本を務めている。本作が約4年ぶりの監督作品となり、これまでに監督作品と同じく、黒澤監督作品のスタッフが大勢参加する。

小泉堯史コメント

「幕末期に完成した武士という人間像は、その結晶のみごとさにおいて人間の芸術品とまでいえるように思う」私もこの映画において侍とはなにか、捉えてみたい。自然に、爽やかに、そして美しく。

映画『峠 最後のサムライ』原作

司馬遼太郎『峠』(新潮文庫刊)

1923年大阪市生まれ。大阪外語学校蒙古学科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960年、「梟の城」で直木賞受賞。以後、歴史小説を一新する話題作を続々と発表。1966年に「竜馬がゆく」「国盗り物語」で菊地寛賞を受賞したのをはじめ、数々の賞を受賞。1993年には文化勲章を受章。“司馬史観”とよばれる自在で明晰な歴史の見方が絶大な信頼をあつめるなか、1971年開始の「街道をゆく」などの連載半ばにして急逝。享年72歳。「司馬遼太郎全集」(全68巻)がある。

映画『峠 最後のサムライ』作品情報

2020年 全国ロードショー

配給 : 松竹、アスミック・エース

公式サイト : touge-movie.com

(C)『峠 最後のサムライ』製作委員会

【文/ビルボーイジン】