帝国データバンクは12日、人手不足の解消に関する企業の見解について8月に実施した調査の結果を発表した。企業の過半数が人手不足を感じている中、各社が取り組んでいる解消法としては、賃金水準の引き上げ、社内コミュニケーションの活性化、残業時間の削減等が並んだ。

【こちらも】深刻化する人手不足問題は副業解禁で緩和されるか

 また少子高齢化が続く中で、シニアや女性を積極的に活用したいとの意見が多数あったものの、外国人や障がい者の活用に意欲的な企業は相対的に少なかった。社会全体が取り組むべきこととしては、ハローワークなど職業紹介機能や働き方改革、および社会保障制度の充実などを求める意見が多かった。

 有効求人倍率が高い数値で推移すると同時に、完全失業率が低く抑えられているように、国内では人手不足が広がっている。少子高齢化の影響から人手不足は今後長期に渡り続くものと予想され、企業においては人手不足への対応が健全な営業活動の継続に不可欠となっている。そこで帝国データバンクは、人手不足の解消に関する企業の見解について、全国2万3,638社を対象に調査を実施した。

 各社が実際に取り組んでいる人手不足への対応として上位に並んだのは、「賃金水準の引き上げ」、「社内コミュニケーションの活性化」、「残業時間の削減」、「業務プロセスの改善や工夫」。特に中小企業において「賃金水準の引き上げ」と答えた割合が高く、限られた人材の獲得に対する努力が見て取れた。一方、大企業においては「残業時間の削減」といった労働環境の改善に係る取り組みを答えた割合が高かった。

 人材の活用に関する質問に対しては、シニアや女性を積極的に活用したいとした企業の割合はそれぞれ29.2%、27.9%と高かった。一方で、外国人や障がい者についてはそれぞれ13.7%、1.1%と相対的に低い割合となった。外国人については、在留に係る法規制によって長期雇用が難しいとの点や、受け入れに係る準備が追いつかないとの点が課題としてあがった。

 人手不足の解消に向け社会全体で取り組むべきこととしては、「職業紹介機能の強化」、「働き方改革の推進」、「社会保障制度の見直し」、「労働市場の流動化」が上位に並んだ。