日本の平等院鳳凰堂は1053年に京都の宇治に建立された阿弥陀堂ですが、なぜか南国の熱帯雨林の中にも平等院鳳凰堂があり、しかも特定の宗教を持たずフリーダムで十字架やガネーシャまで飾られているとのこと。インドネシアで発見されたガンダムな石像のようなもの……?と謎に包まれていたので実際に行ってみました。

Byodo-In Temple - Valley of the Temples Memorial Park - Kaneohe, Oahu, Hawaii

https://www.byodo-in.com/

謎の平等院鳳凰堂は「平等院テンプル」という名で知られており、ワイキキからバスで45分ほどの場所にあります。住所は「〒96744 Hawaii, Kaneohe, Kahekili Hwy」となっています。

バスはハワイ州立美術館の「Alakea St+S King St」から出ており、65番のバスに乗れば1本で行けますが本数が少なく1時間に1本程度しかないので注意。バス停に到着すると……



「The Bus」の表示の横に「65」の数字を発見。時刻表はないのでDaBus2というアプリをインストールしておくと便利です。アプリはGoogle PlayとApp Storeからダウンロードできます。



「65 KANEOHE」と書かれたバスが到着したので乗車。



ザ・バスは片道2ドル50セント(約270円)で、1日券が5ドル(約550円)なので、往復するという場合は1日券を買っておけばOKです。



バスにゆられてしばらくすると、ホノルルの都会の風景が一変し、山々に囲まれていきます。



ということで平等院テンプルのあるバス停に到着……しましたが、ヤシの木が生い茂り、「本当にここに平等院が……?」と疑心暗鬼に。



よくよく見るとゲートには「WE ACCEPT ALL FUNERAL PLANS(あらゆる葬儀プランを受け入れます)」という表示がありました。



入場料の5ドル(約550円)を払い……



てくてく歩いていると、丘に続く芝生にたくさんの花が飾られていることに気づきました。



実は平等院テンプルまでの土地が巨大な墓地になっており、ゲートにあった「あらゆる葬儀プランを受け入れます」という言葉に偽りなく、さまざまな宗教の死者が眠っています。「韓国記念庭園」があったかと思えば……



キリスト教の墓地。



そして日本の墓。こんなにも多くの宗教の墓を一度に目にすることもそうないはず。しかも「墓地」という響きに反して非常にオープンかつピースフルな空間で、2人組がまったり日光浴をしていたり、一族総出でピクニックという光景も目にしました。



広大な土地をゲートから10分ほど歩いていると、ヤシの木の向こうに突如として日本風の建築物が見えてきました。



脳がバグを起こしたのかと思ってしまう、密林の中の平等院という光景。



橋を渡っていざ平等院へ。



この平等院テンプルは1968年6月7日にハワイへの日本移民100周年を記念して建てられたもの。1963年にさまざまな宗教を持つ人たちのための公園墓地として「バレー・オブ・ザ・テンプルズ・メモリアルパーク」が開設され、その奥に平等院テンプルが建立された形です。比較的新しいので非常に鮮やかです。



入ってすぐのところでは鐘を突くこともできます。



平等院テンプル周囲の様子は以下のムービーから確認することが可能。ジャングルの中に「ゴーン……」と荘厳な鐘の音が響き渡ります。

熱帯雨林に囲まれた平等院の様子はこんな感じ - YouTube

周囲はうっそうとしたジャングル状態。ここだけ切り取ってみると、「前人未到の地のはずなのにあるはずのない平等院が……!」と主張できそうなくらいです。



竹が密集した地帯もあり。



売店や……



カフェもあります。



カフェはベトナム系の人が営んでいるので、春巻きなどベトナム料理が並んでいました。



新鮮な果物も。



売店はこんな感じで、日本風のお土産が並んでいました。



休憩用のテーブルやベンチがいたるところに設置されており、飲食OKなのでまったりできるのですが、なぜか置物はタイ風でした。



一方、木の枝にはヒンドゥー教の神様「ガネーシャ」も飾られていました。サイズ的に誰かが記念に飾ったのかもしれません。



手前の池にはコクチョウがゆうゆうと泳いでおり……



「クジャクは野生なので安全な距離を。特に子どもは」という立札もあり、この時はみかけませんでしたが野生のクジャクもいる様子。



子どもたちは池の鯉にエサを与えていました。



ハイビスカス越しに平等院が見えるのもならではという感じです。



建物の内部に入ってみようとしたところ、ハワイの溶岩を使った手作りアクセサリーを売っている女性などがいました。





ということでこれが平等院内部。



平等院の阿弥陀如来坐像が再現されており、圧倒的に日本です。



しかし、壁に飾られた西本願寺の家紋の横にキリスト教の十字架が掲げられており……



法輪や……



日蓮宗の紋や出雲大社の神紋などもずらーっと並んでいました。



飲食OKで建物の中もテーブルやベンチが置かれているので、売店で購入したベトナムコーヒーでまったり一息。日本の平等院鳳凰堂のような厳かな雰囲気はなく、公園のようにのびのびしたオープンな空気です。色んな宗教のモチーフが集結している独特な場所ですが、それゆえに唯一無二のピースフルさをかもしだしているので、日本の寺院ではあり得ないまったりとした時間が過ごせます。



なお、平等院テンプルは朝8時30分から17時までで、入園は16時45分まで。入園料は基本的に5ドルですが、65歳以上は4ドル(約440円)、2〜12歳までは2ドル(約220円)で入ることができます。