国研の中では断トツの再生回数!地味だけど見入る物材機構の実験動画
果糖水で液晶の偏光を学び、ブドウの実で強磁性を理解する。90本の投稿ながら、総再生数は914万3000回、配信登録者は4万5000人を超えた。
コンセプトは「まず気持ちを動かすこと」。初めに「なんで?」、「ホント?」と思わせ映像に引き込むのがコツだとか。
例えば偏光の実験では、まず身近な糖を溶かした水で電卓のように数字を描き「なぜ?」と思わせ、その後で液晶ディスプレーや偏光の原理を紹介した。
これまで科学コンテンツの多くが“わかりやすい解説”に注力してきた。だが解説に関心をもつのは、もともと科学が好きな人が多い。ゲームや会員制交流サイト(SNS)に夢中な普通の市民を引き付けるには、まず「知りたい」と思わせる必要がある。
動画を制作する小林隆司室長は、「前職の科学番組制作で『理屈はいい。その前に知りたいと思わせないと』と落語家の立川志の輔さんに鍛えられた」と振り返る。
動画の主要視聴者は10―20代の若者だ。「ゲームやSNSと競争する必要があった。興味をひければ、解説で原理を理解し、科学の面白さに触れられる」と自信をみせる。
現在はサイトの配信登録者数が増え、双方向のコミュニケーションが可能になってきたのが強みだ。「物材機構で開発した新素材を配布し、実験動画を投稿してもらうなど市民参加型の取り組みを試したい。形状記憶ポリマーを配り、おもしろ装置を作ってもらうなど、材料の可能性の広さを感じてもらえれば」と期待する。
(文=小寺貴之)
