湯水! 月180万浪費 狂った家計なのに、なぜ1億貯められたか?
■年収2000万円超 湯水のごとくお金は出ていく……
●家族構成(5人家族)
夫(55):自営業/妻(51):主婦・夫の会社の経理事務手伝い/長女(21):私立大学3年/次女(19):私立大学1年/長男(16):高校1年
●年収 手取り約2160万円(月収約180万円)
「あと1億円くらい貯蓄を増やさなくてはいけないのです」
ご主人(55)の事業が波に乗り、収入が毎月180万円ほどで安定してきた妻のBさん(51)がこう言いながら相談に来ました。会社の経理事務を手伝っているうちに「自分たちの老後生活と、会社の補てん、譲渡などに充てる資金が足りていない」という悩みが出てきたそうです。
収入はご夫婦で手取り180万円ほどですが、貯蓄は月に50万円ほどしかできません。それも貯まれば学費だなんだと支払いに充ててしまうので、貯蓄にできる額はとても少ないそうです。住宅はローンを完済済みの戸建てと相続で得たマンションの2軒を所有しています。住居費がかからない家計なのに貯蓄ができないとは、どのようにお金を使っているのでしょうか。
Bさんのお子さんは私立大学3年生の長女、私立大学1年の次女、高校1年生の長男の3人です。そのうち、大学生のふたりは都内に所有するマンションで暮らし、ご夫婦は息子と3人で戸建てで暮らしています。
家計表を見ると、2軒分の生活費とはいえ、見事に支出が膨らんでいました。メタボ支出を通り越して、単なる使いすぎです(次ページ参照)。
■手取り180万円の月収がたちまち消えていく……
下記はBさん宅の超メタボ家計の支出のビフォー、アフターです。
食費は外食中心。仕事の疲れもありますが、家族の交流、会話の時間を作ろうと思い外食を大切にしているといいます。大衆的なレストランよりも、すこし静かで落ち着くところのほうが話をしやすいので、普通よりは少々お高いお店が多いようです。
お子さんの教育費を見ると、毎月の家計から支払う長男の学費や塾代が通常のご家庭よりもかなり高額で16万円を超えています。ゆくゆくは会社を継いでほしい期待からだそうですが、一人でこれでは、少々行き過ぎです。加えて、貯蓄から払う大学の学費を除き、娘ふたりの生活費として月に20万円仕送りしています。携帯代や水道光熱費は親が支払っていますから、かなり贅沢です。
他に、ご主人が趣味で所有する自動車が3台。支払いは終わっていますが、長女も運転できる任意保険をかけ、ガソリン代も払うと5万円を超えます。ですが長女が運転することはほぼなく、ご主人が使うのみ。そして奥さんはよくタクシーを利用しています
クリーニングが多かったり、洋服を買ったり、化粧品にお金をかけてみたり、あらゆる費目で「これ必要?」と思う支出があります。
■月43万円も家計カットできた! その内訳公開
下記は、月に計約43万円もコストカットした内訳です。削減額の大きい項目順に並べてみました。
【コストカット額ランキング】
1位:仕送り −8万円
娘たちの生活費は主に食費。家賃はかからないので各10万ずつを6万ずつに
2位:食費 −5万8000円
外食中心。基本は、夫婦+長男分ゆえ、手作りを増やしコストカット。
3位:被服費 −4万9000円
クリーニング減らす。洋服の購入も慎重に
4位:通信費 −4万1000円
家族全員分。格安スマホにすべて変更
5位:生命保険料 −3万3000円
主に、妻と子供の保障の見直し。アカウント型をやめ、必要な保障だけにした
6位:自動車関連 −2万9000円
自動車3台、保険+ガソリン代 1台手放し、任意保険は年齢制限をつけ安くした
7位:生活日用品 −2万5000円
セールなどで買いだめしがち。ストックを使う方向へ
7位:交通費 −2万5000円
主にタクシー。娘たちが帰ってくるときの電車代。妻分は自転車利用で支出削減
7位:交際費 −2万5000円
手土産や飲み会を選別して減らした
10位:水道光熱費 −2万2000円
2軒分合算。2軒ともエアコンつけっぱなしをやめ、水道・電気の使い方に気を付けた
11位:その他 −1万7000円
使途不明金も含む。使途不明をなくすように努めると、減った
12位:娯楽費 −1万5000円
主に外食代として使うことが多いので、食費と合算した
13位:嗜好品 −8000円
ちょっと良いワイン・ウイスキーを購入しがち。予算と購入可能本数を決めた
【現状維持費項目】
●医療費:夫の持病(高血圧)の治療費とそれに起因したサプリメント代が主
●教育費:長男の高校納入金8万円/月、通学定期(バス・電車)2万2000円、塾(2ヵ所)6万5000円/月
●小遣い:夫10万円、長男1万円(今後検討の可能性あり)
支出の感覚が狂ってしまったことには、理由がありました。事業がうまくいく前は大変お金に苦労したので、収入が上がると反動のようにお金を使うことに楽しみを感じ、あるだけ使ってしまっていたそうです。それがいけなかったと感じた奥さんは、家計を改善することを希望しました。習慣を変えなくてはいけないと強く思ったそうです。
Bさんの家計改善と貯蓄増に向けてのプランは、家計支出の削減と、投資による資産増です。外食を控え、だらしなく使ってきた水道光熱や電話、交通費、被服費、お酒、使途不明金など、とにかく「浪費」と思えるような使い方をしないように心がけてもらいました。
格安スマホなら通信費を今の3分の1に下げることも可能だと伝えると、その日のうちに電気屋に走る。タクシーよりも健康も考えて自転車もいいよと提案すると、すぐにアシスト自転車を購入し、少々遠そうな距離でもそれに乗って移動しています。
■奇跡の家計改善 できた理由は「素直さ」にあり?
Bさんは、何が良くて、何が悪いのか、普通の人はどのように使っているのか、他に工夫はないのか、とにかく勉強をしました。わからなくなればすぐに電話やメールが来ます。その回答に質問はあっても反論することはなく、納得して様々なことを行動します。
支出は記録し、無駄がないか振り返り。使途不明金も少なくなり、家計は劇的に改善されました。月の支出は約43万円も減り、「先取り貯蓄」はこれまでの50万円に加え、もう50万円(計100万円)ほど貯蓄に回せるようになりました。
さらに、ゆっくり資産を増やすための投資も始めました。もともとある程度お金がある方たちなので、投資会社から「このような不動産投資が今おすすめです」という勧誘も多く、「今逃したら儲け話を逃してしまうのでは?」と乗ってしまいそうになることもあったようですが、そういう時もすぐに、勢いよく質問をしてきます。そこで、何が良いのか悪いのかを聞くことで悪い商品をつかむことなく、年利3%ほどの運用ができています。
また、節税の一環のふるさと納税も積極的に勉強し、特産物を楽しむ姿も見られました。
お金持ちの方は、プライドやこだわりからお金に対する助言を素直に受け入れられないことが多いのですが、Bさんは違いました。だからとても良い成果を上げることができています。
Bさんがうまく改善で来たポイントは、
(1)プライドを高く持ちすぎず、わからない、迷ったときにはすぐに相談できる
(2)アドバイスは素直に受け入れ、行動する
この2つです。
お金持ちは変わりにくい、変わっても継続しにくいことが多いのですが、Bさんはこれに取り組みすでに3年。年間に1000万円以上の貯蓄に成功し、投資でも少しずつ資産を増やしているので、もともとあった貯蓄8000万円に上乗せする形で1億円の貯蓄のゴールが見えてきています。
(家計再生コンサルタント、ファイナンシャルプランナー 横山 光昭=文)
