試合 :2014年ワールドカップ アジア最終予選 第1戦
開催日:2012年6月3日
結果 :日本代表勝利
スコア:「3−0」
得点者:本田圭佑 前田遼一 岡崎慎司

○ 日本代表

FW:前田遼一
MF:香川真司 本田圭佑 岡崎慎司
MF:遠藤保仁 長谷部誠
DF:長友佑都 今野泰幸 吉田麻也 内田篤人
GK:川島永嗣

FW:前田遼一
MF:香川真司 本田圭佑 清武弘嗣
MF:細貝萌 長谷部誠
DF:長友佑都 今野泰幸 吉田麻也 酒井宏樹
GK:川島永嗣


この試合のMVPは、やはり前田だったかなと思います。1得点、そして、3得点全てに絡みました。1点目は、長友のアシスト、本田の得点、でしたが、前田が左サイドの2列目ぐらいの位置で起点となり、前田→香川→前田、そして、オーバラップしてきた長友へ前田がスルーパス。最後は長友からのクロスを本田が左足で押し込む。というシーンで、1トップの選手が最前線だけに縛られる事無く、幅広く動いて起点を作る。

そして、その1トップの選手が作ったゴール前のスペースへ2列目の選手などが走り込む。これが最も良い形の1つになると思います。今までのザックジャパンでは、1トップの選手が最前線の中央で頑張って、相手のDFラインを引き下げる、それによってバイタルエリアにスペースを作る、もしくは、PAのサイドのゾーンにスペースを作る、という攻撃パターンにこだわり過ぎていたところがあったと思います。

しかし、この試合のように、1トップの選手も含めた前の4人の関係性の中で流動性が生まれて来るようになると、得点力がもっと上がって行くかなと思います。3点目もそうですね。前田と岡崎がポジションチェンジしていて、岡崎が中央、前田が右、という形になっていました。本田経由でパスを受けた香川がドリブルしながら相手を引き寄せて、中央、裏へ走った岡崎も相手DFを引き付けて、それで右サイドでフリーになっていた前田へパス。

前田が個人技で仕掛けてシュート。最後は岡崎が2回のシュートで得点を決めた。というシーンでしたが、単純に、ポジションチェンジ無しで、前田が裏を狙い、岡崎が右で待つ、という事よりも、その2人がポジションチェンジしている事で、より相手DFのマークを剥がす事ができる。こういう流動性が重要だなと思います。本田と香川、前田と岡崎、その2人でのポジションチェンジをベースとして、更にその4人が流動的になれる。そうなったら最高かなと思います。

2点目の前田の得点に関しては、ちょっとオフサイド臭かったかなぁ、前田のボールコントロールも少しバタついたかなぁ、という感じはありましたが、このシーンのように、それほどスペースが無くても裏を狙って行く、そして、それで得点を取る、という事ができるようになれば、それも得点力のアップに繋がって行くかなと思います。ポゼッションサッカーを志向するのであれば、流動性、そして、狭いスペースでもそこを使って得点を取る、この2つができるようになる、それが必須だと思います。

そして、次にこの試合で良かったのは、やはり本田かなと思います。得点を取った事もそうですが、本田がいる事で、とりあえずボールを収める場所ができる、その効果というのは大きいですね。但し、少し本田に頼り過ぎかなぁ、少し本田にボールを集め過ぎかなぁ、という事は感じていて、このチームには香川も遠藤もいる訳ですから、もう少し本田をオトリに使うような感じで、本田を飛ばした攻撃というのも、意識して数を増やして欲しいと思います。

なんでもかんでも、とりあえず本田、本田経由で攻撃を作る、というのは、相手にも読まれてしまうし、攻撃のワンパターン化にも繋がってしまいますからね。この試合では、遠藤のパフォーマンスがいまいちだったので、遠藤を起点にするような攻撃が少なかったのは仕方無いと思っていますが、しかし、香川については、ただアタッカーとして使うというのは、かなりもったいないかなと思います。