久しぶりに、イタリア・IBLに日本人選手が所属することになりました。UGFフォルティチュード・ボローニャ1953は24日、元西武のG.G.佐藤こと、佐藤隆彦外野手(34、以下G.G.)を獲得したことを明らかにしました。

 日本ではその日本人離れした体格と、お立ち台での「キモティー!!」との絶叫パフォーマンスで人気を博したG.G.は、法政大学を卒業後にフィリーズに入団し、ルーキー級とA級で合計170試合に出場。その後、米国逆輸入選手として、2004年にドラフト7位で西武に入団しました。主力に定着したのは2007年からで、3年連続20本塁打以上を記録するなど、自慢の長打力を武器にスラッガーとして活躍を見せました。

 また自慢の強打に加えて、捕手出身ということもあって、強肩でも大いにチームに貢献。2007年には、パ・リーグの捕殺ランキングで外野手部門の4位、さらに無失策で終えてみせ、打撃でも守備でも大いに力のあるところを見せました(この年は打率.280、出塁率.351、長打率.510、25本塁打、69打点をマークしています)。

 ただ一方で、時にはマイナスの印象を与えるような側面も。2008年には、北京五輪に日本代表の一員として参戦、レギュラーとして外野の一角を務めたものの、ポジションが本職の右翼ではなく左翼だったことで、準決勝の韓国戦で2失策、3位決定戦のアメリカ戦でも3失策を犯し、結果的にチームの足を引っ張る形になってしまいました(現在でも、外野の不用意な落球が「GG○○」と呼ばれるなど、この時の彼のプレーは今でも尾を引いているような…)。

 また、毎年のように契約更改で揉めることでも悪名高く、2007年と2008年のオフは、2年連続で年俸更改が長期化し、12球団最後に決まるというエピソードも(本人は、実際にはそこまで金には執着心がなかった、というような話もありますが)。ここ2年間は不振だったとはいえ、日本で全くプレーできないような状態ではなかったであろうだけに、結局日本の球団に獲得してもらえなかったのは、この頃の印象が各球団に残ってしまっていたことも、あったのではないかというような気もしています。

 しかし、今回のG.G.のイタリア移籍は、日本球界にとっては歴史に残る出来事であることは、間違いないでしょう。それはG.G.が、プロ解禁以降の日本代表経験者としては、史上初めてヨーロッパ球界に移籍する選手だから。これまでイタリアリーグには、湊川将隆(元中日)、小野剛(元巨人他)、品川操士(元近鉄)らの日本人選手が参戦したことがありますが、彼らはいずれも、それ以前は一軍での目立った活躍がない、あくまでも一軍半レベルの選手にすぎませんでした。今回のG.G.の場合は、過去の短期間ではありながらも、日本の一軍でレギュラーとしてプレーしていた身。過去の2選手とは今回の移籍は、全く意味合いが異なると言えます。

 また、彼を受け入れる側のイタリア球界も、湊川や小野らが在籍していた10年ほど前とは、まるで異なった様相を呈しています。今年でプロ化3年目を迎え、NPBやMLB、またその下のAAA級の経験者も、ごく普通にやってくるようになっているIBL。特に、今回G.G.が加入するボローニャのような、強豪クラブと契約する助っ人の経歴は、NPBにやってくるような選手のそれとも、もはや遜色のないレベルです(もちろん、個々のレベルにばらつきはありますが)。言葉の問題もありますし、日本でイメージされている以上に、きつい戦いになることは間違いないでしょう。

 それでも、今回G.G.が結果を残すことができれば、NPB選手の移籍先の候補として、ヨーロッパが選ばれるようになる可能性も、きっと出てくるはず。これまで、日本をお払い箱になった時の移籍先といえば、韓国や台湾が常道でしたが、ここにイタリアやオランダ、あるいはドイツあたりが加わる日が、近い将来くることになるかもしれません。ヨーロッパ野球が、日本人にとってもっと身近な存在になる、そんな日が来るかもしれないという意味でも、G.G.の今回の挑戦には、大いに期待したいところです。ぜひとも、日本でレギュラーを張っていた頃の輝きを、取り戻してもらいたいですね。

ソース一覧
http://www.mister-baseball.com/takahiko-sato-joins-fortitudo-bologna/

http://www.fortitudobaseball.it/media/news/1-news/360-grande-colpo-biancoblu-in-arrivo-takahiko-sato