今回の【ドラマの女王】は、意外にもフジテレビ系連続ドラマ初主演!生田斗真の『魔女裁判』。2004年5月に小泉純一郎内閣によって成立し、近いうち開始される予定である“賛否両論”の裁判員制度。「誰もがいつ、裁判員になるか分からないのでこのドラマを見て勉強しましょう。」とばかりに意気込むフジテレビだが、そこは土曜深夜枠。「裁判員制度」のリアリティや誠実度がゼロだよ。日本のみなさーん、裁判員制度はこんなんじゃないから。


とにかく"裁判員制度"にひっかけてドラマを盛り上げようと必死な感がうかがえる。ご丁寧に番組HP ではQ&A方式で制度を解説したり、CM前後で「有罪」、「無罪」、「保留」などの途中経過を掲げてみたりといろいろ演出。途中経過がプレゼントの応募に見えて番組が途中で終わったのかと思った。またサブリミナル的な静止画が見えたり、番組に登場するTシャツをプレゼント(販売も?)したりと小細工も忘れない。もはや話題づくりなのか商魂なのかよくわからなくなっている。

主人公吉岡徹(生田斗真)は自称ストリートデザイナー。彼は、見た目は若いが子持ち人妻のいずみ(加藤あい)、中学教師の田所(中村靖日)、介護ヘルパーの内海(松本じゅん)、キャバ嬢の梨華(末永遥)、自治会長の井筒(山谷初男)、法科大学院生の相馬(平方元基)、OLの芳子(中村果生莉)ら裁判員候補者に選ばれた8人のうちのひとり。初めての呼び出しに不安が隠せない面々は、それぞれを色で呼ぶ。

彼らが裁判する事件は、一見温和そうな美貌の愛人柏木鏡子(石田ゆり子)による大会社の会長・東条総一郎(早川純一)の殺人。容疑者である鏡子は10年前にも夫の死亡保険金を手にしていたことから、世間では“魔女”と呼ばれていた。徹の恋人で新聞記者の本宮香織(比嘉愛未)は、被告人、柏木鏡子との独占取材を通し彼女に親しみや共感を覚えていくようになる。そして、徹と同じ裁判員のいずみと徹に対して不信感を抱きはじめる・・・。比嘉、加藤、石田と三美女とビミョウな関係の生田斗真。イケメンはモテていいわ。この他女性キャストは、鏡子の娘として、『メイちゃんの執事』のポッキー娘、忽那汐里、ナゾの組織の女・水島真紀子の滝沢沙織。

水島真紀子が所属する「謎の組織」であるが、これから裁判員の面々の個人的な弱みを握り評決を買収しようと法廷をかき回す様子。皮肉な中学教師田所のホモはバラすわ、徹にTシャツのニセの発注はするわ、婚約者にキャバの前は風俗嬢だった事をバラすと梨華をゆすったりとやりたい放題。みんな自分がかわいいから他人が裁かれる「裁判」のモラルなど簡単に寝返ってしまいそうだ。介護宅の金を盗んでいるヘルパーなど、表面上は分からない基準で選ばれた人たちによる裁判の怖さや、それではどんな人が「裁判員」にふさわしいのか?という問題が浮き彫りになってくる。ここだけリアルな展開だ。

組織のリーダーの黒川竜一を演じる鈴木亮平は、現在TBS金曜ドラマ『スマイル』にも刑事役で出演中。忽那汐里と同じく『メイちゃんの執事』からの“流れ出演”だが、天才少女みるく(吉田里琴)に使えるやさしい執事・大門役とはうって変わった、米国陪審コンサルあがりの野望溢れる冷徹な完璧主義者といった大げさな役をこなす。まるで映画『レイン・フォール雨の牙』の桔平ちゃんみたいだが、鈴木は東京外国語大学卒のエリートで英検1級も持っているので、まんざら遠くもない。今回はグラサンをかけているので「モニカ」の頃の吉川晃司みたいだけど。

犯人は本当に魔女なのか?
「魔女裁判」を通して、ナゾの組織の手中で繰り広げられるミズモノの「法廷ゲーム」に正義を翻弄される徹、TBS系『魔王』も書いた脚本家前川洋一と、生田くん、そして福山雅治の歌う主題歌「化身」に期待していいのか?

「まもなく日本の司法に導入される"裁判員制度"がテーマに描かれるエンターテイメント!!」と大きく出たが、このドラマにはその要素は低い。本当に裁判員制度がどういうものか知れたければ、米映画『評決のとき』や、『ニューオリンズ・トライアル』のような、いわゆる骨太の「法廷モノ」を見ればいい。しかしながらドラマ『魔女裁判』は、同枠で人気だった「ライアー・ゲーム」や、TBS系の「ブラッディ・マンディ」のような、若者向けのドラマとしてはけっこう楽しめる。この場合、堅苦しい「裁判員制度」も“そんな制度があるんだね〜。”と若者たちが気づいてもらえれば御の字ではないか。
(編集部:クリスタルたまき)

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