■第8試合 ライトヘビー級/5分3R
リョート・マチダ vs ティト・オーティズ
○[3R終了/判定]×

最後のオクタゴンという声が絶えないティト。その彼を大きなティト・コールでラスベガスの観客は後押しをするが、オッズではリョートが有利というライトヘビー級新旧対決。サウスポーのリョートは、低いガードでローキック。ティトが前進すると、まっすぐ下がる。ケージ際で、ティトがパンチを振ると、リョートは距離を取り直しローキックを放つ。

組みついたティト、リョートはその体を受け流すようにさばく。ティトは飛び込んで右ストレートを放つが、これも不発に終わると、再び距離を取る。今度はリョートが距離を詰めるが、すぐに自らステップバック。右ジャブから次の一手を狙うリョートに対し、今度はティトが距離をとるなど、互いに思うように攻めることができない展開が続いた。

ティトの攻撃を身切り、二段蹴りのようにスイッチしてオーソドックスになってから左ミドルを決めたリョート。そのまま組みつくと、一気にテイクダウンを奪いパウンドを連打する。右腕を両足で挟まれ、パンチから逃れることができなかったティトを1R終了のホーンが救った。

2R、ティトのローをかわし、左ジャブを当てるリョート。ティトは心なしか、肩で息を始める。遠い距離から片足タックルを狙ったティトだったか、リョートはステップバック。リョートの右フックをブロックしたティトだが、なかなか距離を詰めることができない。
オクタゴン中央に下がり、仕切り直しを図ったティトのパンチ、更には、フェイントからテイクダウン・アテンプトも軽くサイドステップかわしたリョートは足払いを狙う。「カラテの強さを証明したい」というリョートが、完全に試合の主導権を握った。タックルをつぶされ、引き込んでガードを取ったティトが立ち上ろうとした瞬間、リョートの膝蹴りが顔面を狙う。

遠い間合いから、リョートがティトのボディにヒザ蹴りを見舞う。さらにパンチをヒットさせると、前進してきたティトの大ぶりのパンチ、そしてハイキックを、リョートがいなしたところで、2Rが終了した。

3R、右へ左へ動きながら下段を見舞うリョート。一気に距離を詰めたティトが、組みついてパンチを見舞おうとするが、効果的なパンチがないまま再び距離を取られる。ティトは右ハイキック、首相撲からヒザ蹴りを見舞う。ケージに押し込まれながらも、首相撲から膝蹴りでようやくチャンスを掴んだティトだったか、逆にリョートにパンチを浴びる。

と、テイクダウン狙いに切り替えたティトが必至にリョートを倒そうとするが、リョートはこの攻撃を全て遮断する。わきを差し合ったまま、時間だけが過ぎるが、残り時間1分40秒でレフェリーがブレイク。再び距離をとった両者、ここでリョートの左ヒザ蹴りがティトのボディを打ちぬき、ティトは思わずダウン。飛び込んで、インサイドガードからパウンドを連打するリョート。両者の動きが止まったと思った瞬間、ティトの三角絞めがガッチリとリョートの首を捉える。

見た目では、いつタップしてもおかしくないほどタイトに極まったが、回転しながら腕十字に切りかえたところで、リョートがエスケープに成功する。

すると、直後にタイムアップ。ジャッジの判定は、3者とも30-27でリョートが勝利。試合全般でリードしたリョートの勝利は間違いないが、ティトも三角絞めで意地を見せた。

「ティトの三角絞めには驚いたが、死んでもタップしないつもりだった。ティトはレジェンド、そういう相手に勝利できて嬉しい」とリョート。「マチダはグレートファイター、ちょっと時間が足りなかった。僕はこれからも戦い続ける。俺は11年間、UFCで戦ってきた。UFCファンも最高だ。これから? 家に帰って考える。僕が初めてUFCに戦ったのはUFC13だった」というティト。現在の恋人、前婦、練習仲間に感謝の言葉を続ける彼の言葉を、インタビュアーのジョー・ローガンが「ティト、最後のUFCでした」と締める。

「リョートは顔に塗っていたワセリンで救われた」――、彼のマネージャーが語った一言がいかにティトの三角絞めがタイトだったかを表している。

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