順調に成長を遂げている中井。今夏以降はどのカテゴリーでプレーをするのか注目だ。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

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 小学4年生の時に海を渡り、レアル・マドリーの下部組織でプレーをする中井卓大。現在15歳の若武者は異国の地でトップチーム昇格を目標を掲げ、奮闘を続けている。
 
 中井は今春に日本で言うところの高校1年生に進級。クラブではカデーテA(日本のU-16チーム)に所属しており、現在は昨秋からスタートしているリーグ戦の終盤を迎えている。

 クラブの広報によると、各地域ごとに分かれて争う総当たり方式の戦いで、チームは首位を独走。27試合終了時点で2位のアトレティコ・マドリー(25試合消化)に13ポイント差を付けており、来週末に行なわれるゲームで勝利を収めれば、2節を残して優勝が決まる状況だ。
 
 スペインでトップクラスの実力を誇るチームで、中井は4−3−3のインサイドハーフでレギュラーの座を確保。今季は24試合に出場し、6ゴールを記録しているという。

 4月19日から神奈川県の平塚市で開催されている”キリンレモンカップ“では、初日の2試合に連続で先発出場した。世代別代表の活動で主力が5名不在のチームで、中軸として見事な立ち振る舞いを披露。2試合目ではキャプテンマークも託されており、スタッフや選手から信頼を得ていることが伺えた。
 
 ただ、ここまで順調にステップアップを果たしている中井も、トップチーム昇格までの道のりは長い。
 
 現在中井が所属しているカテーデAは6番目の位置付け。その上にはトップチームを頂点にカスティージャ(Bチーム)、17歳から19歳の選手で構成されるフベニールのA、B、Cが存在するのだ。
 
 今夏、中井はカデーテAのカテゴリーを修了。そのため、昇格するか否かの可否が間もなく下される。クラブの広報によると、現在25名が所属するカテーデAから昇格する可能性があるカテゴリーは、フベニールBとCのふたつ。「6月にシーズンが終わり、すぐに来シーズンもマドリーでプレーできるかの判断がなされる」ようで、フィジカル面の発育状況によって、どちらのチームに属するか決められるという。ここまでは、90パーセント以上の選手がどちらかに昇格できるそうだ。

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 ただ、次なる関門のフベニールAに上がれなければ、次の扉を開けない。しかも、18歳を迎えると、一気に国外から有能な選手たちが大量に加入する。そうすると、昇格の門戸は一気に狭まる。

 世界中からやってくる逸材との戦いを勝ち抜かなければならず、トップチームに昇格するためにはフベニールA、そしてカスティージャで実績を残さなければならない。つまり、本当の意味でふるいに掛けられるのは、2年後の18歳を迎えたタイミングで、そこがひとつの分岐点になると言えそうだ。

 中井はこの1年間で身長が5センチ伸び、180センチに到達した。ただ、身体の線はまだまだ細く、現在はフィジカルトレーニングを本格に始めたばかり。これまでに培ってきた技術を活かすためにも、さらなる成長が求められる。

 ここからの2年でどれだけ評価を勝ち取れるか――。それ次第で、“ピピ”のトップへの道が拓けるかどうかが決まることになりそうだ。

取材・文●松尾祐希(サッカーダイジェストWEB編集部)