野崎さんの生前の著書『紀州のドン・ファン』

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「紀州のドン・ファン」と呼ばれた資産家・野崎幸助さん(77)が和歌山県田辺市の自宅で変死した事件をめぐり、様々な謎が浮上している。捜査の進展情報が少ないなか、犯罪捜査のプロがいろいろな見方を提示している。

そんな中、犯罪ジャーナリストで元神奈川県警刑事の小川泰平氏が家政婦にインタビュー、一つの捜査ポイントを提示した。

愛犬の死にも大きな謎

野崎さんは数多の女性との交際歴から、スペインの伝説上の好色家になぞらえて「紀州のドン・ファン」と呼ばれた。その資産は数十億円にものぼるとされる。

新聞・テレビ各社の報道を追うと、死亡が確認されたのは2018年5月24日。自宅には22歳の妻と、66歳の家政婦がいた。和歌山県警は、容疑者不詳のまま殺人容疑で26、29日の2度、自宅を家宅捜索している。

野崎さんに目立った外傷はなかったが、同31日までに遺体から覚醒剤の成分が多量に検出されたことが分かっている。だが野崎さんは薬物を毛嫌いしていたといい、なぜ覚せい剤が身近にあったのか。入手経路はいまのところ、まったく不明だ。

また、愛犬が急死した点も謎として指摘されている。野崎さんと親交のあったタレント、デヴィ夫人によると、ふだんおとなしかった愛犬が暴れるようにもだえ苦しんで亡くなったと証言している。専門家の指摘では、マウスなどの実験によると、覚せい剤を経口で摂取した場合、もだえ苦しむといい、愛犬の最後の状況と似ている。万が一、覚せい剤によって死んだとすると、誰が与えたのか、大きな謎だ。

「昔付き合っていた女の人が捨てていったものを、口に入れたのかなと」

さらに、野崎さんが覚せい剤を使っていたとすると、通常は腕などに注射で打つのに、この点については、野崎さんの体に注射痕がないことがわかっている。

そんななかで、小川泰平氏は6月6日放送の「ビビット」(TBS系)で、自身が家政婦に2日にインタビューした際の新たな証言と「謎」を披露した。

インタビューでは、「家宅捜索で何か出た?」という質問に、家政婦は「社長の引き出しから(覚せい剤が)出てきた」と返答。

続けて、「どうやって体に入った?」と聞くと、

「昔付き合っていた女の人が捨てていったものを、口に入れたのかなと」

と答えていた。

小川氏は、家政婦が覚せい剤の入手経路などについて不明な点が多かった中で「昔付き合っていた女が捨てていったもの」と証言した点、さらに「たまたまだったかもしれない」との推測つきながら、「口に入れたのかな」と証言した点を重要視していた。

一方で、家政婦に「覚せい剤で警察に逮捕されたことはあるか」「逮捕されずとも覚せい剤をやったことはあるか」「知り合いに覚せい剤をやったり逮捕されたりした人はいるか」と聞いたが、いずれも否定されたといい、覚せい剤をめぐる「謎」は依然残ったままだ。