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なぜあなたは忙しいのか。それはムダな行動で時間を浪費しているからかもしれない。今回、「プレジデント」では5つのムダについて、5人の識者に解決法を聞いた。第4回は「お金を使うだけムダ」――。(全5回)

※本稿は「プレジデント」(2018年1月29日号)の特集「24時間の使い方」の掲載記事を再編集したものです。

■金融機関に勧められるまま購入すると失敗する

時間に追われるビジネスマンは、短い時間で効率的に儲けたがる傾向がある。しかし投資で成功するのは時間がかかるものだ。

プロに運用を任せる投資信託は、効率よく稼げるイメージがあるかもしれない。しかし現在、日本国内の投資信託のファンドは6100本超ある。ここから「どこの金融機関がどんな商品を運用し、どれだけのリターンがあるのか」を調べ、儲かるファンドを選ぶのは難易度が高い。

投資信託の中でも、市場平均と連動するインデックスファンドはどうだろうか。この数年、アベノミクスで相場が上がったため、時間さえかければ儲かる印象が強く、根強い人気がある。しかしこれから人口減少期を迎える日本経済がずっと伸びていくとはかぎらない。

一方、世界経済は成長を続けており、GDPは毎年3〜4%増えている。もしインデックスファンドに希望を託すのであれば、世界の先進国の株価に連動したファンドを選んだほうがいいだろう。MSCIコクサイという代表的なファンドは、1994年から20年かけて、ITバブルの崩壊やリーマンショックの荒波を超え、約8%のリターンを上げている。確実に資産を増やすには、現時点では無難な商品といえる。

インデックスファンドを指標に、+αのリターンを狙うアクティブファンドは、成長性を狙って銘柄指定をしているため、当たり外れも大きい。金融機関に勧められるまま購入すると失敗する可能性は高いだろう。

■「退職金プラン」で利用者が得することはほとんどない

金融機関の提案を鵜呑みにしないほうがいいのは、多くの銀行が退職金運用の受け皿として勧める「退職金運用プラン」も同様である。このプランは、退職金が1000万円だとしたら、500万円を投資信託の購入資金に、残りの500万円を「特別金利」が適用される定期預金に預けるというものだ。

特別金利は6%を謳っていても、適用期間が3カ月しかないものがあり、実質1.5%程度。そして投資信託を購入する際、手数料が2.0%取られるなどのカラクリがあり、利用者が得することはほとんどない。

そして今、とりわけ注意を払うべき金融商品が、仮想通貨である。チャンスが転がっている一方で、購入後、窓口と音信不通になるような詐欺も目立っている。見極め方としては、日々の出来高がネット上で確認できない通貨は確実に怪しい。そして「この仮想通貨を購入して、ほかの人に紹介すると手数料が入りますよ」というマルチ商法とからめた仮想通貨も、避けたほうがよい。

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▼トラブル急増中!? 仮想通貨事件簿

2017.03
●大使館が「未承認」と声明
フィリピンの開発投資に使われると話題だった「ノアコイン」。在日フィリピン大使館が「国家プロジェクトではない」と注意を喚起。


2017.10
●虚偽の説明で取引停止
仮想通貨「クローバーコイン」を販売する48ホールディングスが、「3カ月で128倍の価値になる」など虚偽の説明をしたことで、3カ月間の販売取引停止に。


2017.10
●返金能力なしに現金を預かる
仮想通貨「リップル」の取引仲介会社が、返金能力がなかったのに取引希望者から現金を預かり、約1700万円を詐取。代表が逮捕された。

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×:金融機関に勧められるまま金融商品を購入
○:世界経済と連動したインデックスファンドで確実に資産を増やす

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鈴木雅光
金融ジャーナリスト
岡三証券、公社債新聞社、金融データシステムを経て独立。単行本の制作、執筆の他、各種オンラインメディアに、投資信託や金融市場全般に関する記事を寄稿。
 

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(金融ジャーナリスト 鈴木 雅光 構成=吉田洋平 写真=iStock.com)