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●日本HPの在り方、Keep Reinventing

日本HPは1月24日に都内で事業説明会を実施、岡社長はじめ、デジタル印刷事業、3Dプリンティング事業、パーソナルシステムズ事業のトップが2018年の事業目標や戦略について語りました。

冒頭、岡社長は「グローバルで見ても非常に好調な一年で、すべての国ですべての製品が伸びました」と述べ、2017年がとても良い一年だったことを強調しました。

HPは10月が会計年度となりますが、PCとプリンタを合計した2017年度の出荷台数はワールドワイドで8,700万台。これは何かしらの製品を1秒に2.7台出荷したことになる数字です。

世界170カ国、25万社を超えるパートナーと事業を展開し、売り上げは前年比9%増の約5.8兆円、利益は約4,300億円、年間成長率は8%に昇ると報告しました。特にPCが好調で、2桁成長の伸び。縮小傾向だったプリンタも、プラスに転じたそうです。

国内に目を転じると、日本HPとして初めて企業向けPCがシェア20%を超え、ワークステーションは45%、シンクライアントでは43%のシェア。2年半に当たる10四半期連続で、マーケットの平均成長率を上回るペースでシェアが伸びています。

日本のHPは、2015年8月にPCとプリンティング事業を担う「日本HP」と、エンタープライズ事業を展開する「日本ヒューレット・パッカード」に分社しました。当時、日本HPが掲げたビジョンが「Keep Reinventing」でした。直訳すると「改革や再発明の継続」。

分かりやすい言葉にすると、「世界初やイノベーティブな面白い製品を作り続けよう」といったところでしょうか。具体的には「3年、4年後を見据えた、一歩先を行く製品の提供」こそが、日本HPの在り方といえそうです。

このビジョンにもとづき、HPのラボでは50年先を見据えたテクノロジーの方向性を考えているそうです。地球上でどこの人口がどのように増え、グローバリゼーションやイノベーションがどのように進んでいくかなど、長期的な世の動きを研究した上で、日本HPがどの領域に参入できるかを判断して、ビジネスを展開しているわけです。

「10年後は、PCやプリンタとは呼んでいないかもしれない」(岡社長)

●「コア分野」はPCとプリンタ、プレミアム市場を創出する

日本HPは事業分野の選択と集中を進め、PCとプリンティングの事業を「コア分野」「成長分野」「将来分野」の3つに分類しています。コア分野は33兆円規模を持つ既存のPC市場とプリンタ市場。ここでは「プレミアムのセグメントを作りたい」と述べました。

「成長分野」は、文字通り成長させていく事業です。業務向けのPOSシステム、会議室専用のカンファレンスPCといったものから、高速インクジェットプリンタ、大判プリント、デジタル印刷などに、成長の余地があるとしています。

そして、どこまでの市場規模になるか見えないけれど、将来は確実にトレンドが来ると予測する「将来分野」が、イマーシブ、VR/AR、3Dです。2018年は、本当の意味で「使われる」という観点から、種まきの時期と考え、力を入れていくとのこと。

コア分野であるパーソナルシステムズ事業では、「プレミアム」市場の創出を目標に、高品位な製品づくりに取り組んでいます。例えば、13.3型モバイルノート「HP SPECTRE 13」では、自社開発した汚れにくく指紋の付きにくい塗装技術により、汚れると目立つはずのセラミックホワイトを本体カラーに採用するなど、「高品位」な面でも他社製品との差別化を進めています。

会場には、日本HPのプリンティングシステムを利用した展示物や、最新PCも展示。同社の現在の取り組みや今後の方向性が見えてくる、ワクワク感の高い展示がなされていました。

●「成長分野」はデジタル印刷、「将来分野」は3Dプリンティング

成長を推し進めていくデジタル印刷事業では、2007年に年間印刷枚数が50億枚(A4換算)だった市場が、2017年は350億枚となりました。2018年は新たに、「HP Indigo 12000HDデジタル印刷機(1600dpi高解像ヘッドモデル)」の出荷を開始することで、さらなる成長を期待しているそうです。

将来分野を担う3Dプリンティング事業では、試作のためのツールだった3Dプリンタが、最終製品そのものまで出力する時代が来ると考えます(ここでいう3Dプリンタは、ホビーにも使える卓上サイズのものではなく、完全に業務用途の製品を指します)。過渡期の現在、最終製品に入るパーツの多くを、日本HPの3Dプリンティングシステムで造形しているという話が印象的でした。

実際、2017年11月にはNASAから特注された無重力で使えるプリンタを、3Dプリンタで製品化すると発表しています。5,000台以下くらいのロットであれば、3Dプリンタで製造したほうがコストを抑えられるケースが増えているそうです。無重力対応プリンタはそんなに何台も使われる製品ではないので、まさに3Dプリンタを活用したほうが効率的なケースに当てはまるということです。