「ポケGOとUberはほとんど同じ」(落合陽一氏)

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 AI(人工知能)やVR(バーチャルリアリティ)技術、ロボット技術などが急激に進化し、機械の知能が人間を超える「シンギュラリティ」が近づいていると言われる。そうした中で、人間の仕事は、生活は、どう変わっていくのか。ホリエモンこと堀江貴文氏と、メディアアーティストで筑波大学助教の落合陽一氏が「驚くべき近未来」を語り合った。

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堀江:アマゾンGO(※注1)はすごいよね。これまでの自動レジは客が自分で精算作業をしてたけど、アマゾンGOはレジ自体がない。

【※注1/アマゾンが米シアトルでテストしている、コンビニのような業態のリアル店舗。レジがなく、スマートフォンをかざして入店し、商品を棚から取って店から出れば自動的に決済が完了する。店内には無数のカメラとマイクがあり、客が商品を手に取った様子を人工知能で認識している】

落合:スマホに専用アプリを入れておけば、持ち帰った商品がアマゾンのアカウントで課金される。コンビニはすべてアマゾンGOになると思いますよ。

堀江:そうやって自動化されると、人間のやる仕事なんかなくなるよね。「機械に仕事を奪われる!」と心配する人も多いけど、人間は遊んでいればいいと思う。

落合:ほかにやることなくなりますからね。機械と人間が「競合する」と恐れてばかりいるのは古いですよね。

堀江:俺がやっているHIU(堀江貴文イノベーション大学校。会員制のコミュニケーションサロン)でも、どうやって遊んでいくかを研究してる……というか、実践しているんです。

落合:僕も、学生たちには「研究はいちばん貴族的な遊びだ」と言っています。

堀江:これからは労働がエンターテインメントになる。だから、楽しいことを好きなだけやれる仕組みをいかに作るかが大事。

落合:たとえば、ポケモンGOとUber(※注2)は、一方は遊び、一方は仕事なのに、よく似ています。スマホを見ながらあちこち歩き回ってポケモンを捕まえるのがポケモンGO。スマホを見ながら客がいるところに行ってピックアップし、目的地に運ぶのがUber。賃金が発生するかどうかの違いだけで、やっていることはほとんど同じです。

【注2/配車アプリ。アメリカなどでは、自家用車をタクシーのようにして、客から料金を徴収して仕事としている運転手も多い】

堀江:「働いて給料をもらう」という考え方自体が前時代的になると思う。いまでも人気の会社には学生のインターン希望者が殺到して、「お金はもらえなくていいから働きたい」というでしょ? テレビ局なんかも、本当はテレビ局が出演者からお金もらっていいはず。出たい人が大勢いるんだから。

落合:働きたい人からお金をもらうということですよね。「働くことがエンターテインメント」というのは、そういうことです。

 そのように世界が変化するのは、やはりスマホの影響が大きいですね。スマホは人にくっついて移動するから、そのままネットワークにつながる。もともと人間は“ロボットとしては高性能”なんです。

 機械は故障リスクが高いけど、人間は病気になってもとりあえず働く(笑)。だからいまは人間にスマホをくっつけることであらゆるサービスのベースになっているけれど、やがて人間がいなくても成立するようになる。

堀江:最初だけ人間を使うんだよね。

落合:はい。エベレストの頂上に最初に行くのは人間だけど、そこに無線機を1個だけ置いてくれば、あとは機械がそこまで行けるようになるわけです。

堀江:そういう世界で「人間がいかに生き残るか」「人間の仕事を機械に奪われないためにどうするか」と考えるのは、あまり意味がない。

 そもそもこの世界は富が偏るようにできていて、いまでも8人の金持ちが世界人口の半分の36億人と同じ富を握っているわけでしょ。機械が仕事を全部やるようになっても同じこと。考えるべきは、富をどういう仕組みで再分配するかだけだと思う。

落合:しかし、僕はもう“カリフォルニア帝国支配”が完成しつつあると思っているんですよ。グーグルなどの拠点があるアメリカ西海岸が世界を支配してしまう。富の再分配を考えたとき、さすがに国境を越えて分けてくれることはないのでは……とも思います。

●ほりえ・たかふみ/1972年生まれ。実業家。SNS media&consulting株式会社ファウンダー。株式会社ライブドア元代表取締役CEO。『ゼロ』『本音で生きる』など著書多数。

●おちあい・よういち/1987年生まれ。筑波大助教。メディアアーティスト。東京大学大学院学際情報学府博士課程修了。著書に『これからの世界をつくる仲間たちへ』などがある。

※SAPIO2017年4月号