侍ジャパン・稲葉篤紀打撃コーチ【写真:岩本健吾】

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モーションが速い外国人投手対策として、近距離からのフリー打撃

 3月の第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に向けて宮崎で強化合宿を行う野球日本代表「侍ジャパン」。4年に一度の世界一決定戦に向け、侍戦士たちは精力的に練習に励んでいる。練習初日にはベテラン内川聖一外野手が志願の特守。そして、2日目だった24日には、坂本勇人内野手ら7選手が居残り特打に臨んだ。

 この特打は一工夫されていた。打撃投手を買って出た稲葉篤紀打撃コーチは、通常よりも近距離から速いテンポで打者に対してボールを投げた。いわゆる“メジャー流”のフリー打撃法を取り入れたわけだが、それには宮崎キャンプに唯一参加していない、あの選手からのアドバイスがあったという。

「あれは青木(宣親)選手の提案。メジャースタイルですよね。外国人投手はモーションが速く、球が動く中で、日本人のようにゆっくりタイミングを取っていると、どうしても間に合わない。だったら、近い距離から(投げる球を)自分のタイミングでどうやったら打ったらいいのか、外国人投手を想定しながらやるということを取り入れた方がいいんじゃないですか、という話がありました」

特打参加選手は「自分のタイミングで打つ練習になった」

 小久保裕紀監督の下、打撃コーチとして国際試合を重ねる中で「外国人投手のタイミングの取り方が一番大事なところ。なかなか苦しんでいる部分でもあった」と感じていたという。何か対策を講じたい、と考えていたところ、現役メジャーリーガーとして日常的に外国人選手と対戦する青木から提案を受けた。

 外国人投手対策は、稲葉コーチだけではなく、選手自身も課題と考えていたのだろう。特打には「みんな興味を持ってやってくれた」と、都合のついた7選手が参加。取材で訪れたメジャーキャンプでのフリー打撃の様子を思い出しながら投げたという稲葉コーチは、「最初はすごく打ちづらかったと思うけど、その中でも自分のタイミングで打つ練習になった、ということは言ってくれた」と、選手からの反響に手応えを感じたようだ。

 青木は現在フロリダ州ウエストパームビーチで、今季から所属するアストロズのスプリングトレーニングに参加中。侍戦士28人の中でただ1人、強化合宿に参加していないが、外国人投手対策のアイディア提供という形で心はチームと共にある。