11月10日に公開された映画「正欲」が早くも反響を呼んでいる。同名の原作小説と同様、この作品で扱われているのは、現代社会が向き合わざるを得ない「多様性」の光と影である。人の価値観や考え方、生き方、働き方、性的嗜好、人種、性別、民族…。すべてが尊重されるべき、というのは確かにあるべき社会像だろう。ただ、意地悪な言い方をするなら、人が他者に寛容になれるのは、その他者が自分にとって理解可能であり、さらにその