地方政治は信頼を取り戻せるか? 「統一地方選」激闘選挙区の内幕(上)
下がり続ける地方政治への関心
有権者なら統一地方選に行こう!
いよいよ4年に一度の統一地方選挙が始まろうとしている。しかし、「統一地方選」と聞いて、どれだけの人たちがそれを思い浮かべ、「投票に行かなくてはいけない」と感じているのだろうか。
これからの地方政治を担う首長や議員たちを吟味し、自らの判断で選出することは、本来住民にとって、自分たちの生活を左右する重要な意味を持つ仕事だ。だが実際には、日本で地方選挙への関心が薄れて久しい。
それを解決するための方策として行われているのが、この「統一地方選」。全国で一斉に選挙を実施することによって話題性を高め、投票率向上を目指している。現在、1788ある地方公共団体のうち、14%の首長選挙、42%の議会議員選挙が同日に行われる。都道府県と政令指定都市の首長・議員選挙の投票日は4月12日、それ以外の市区町村の首長・議員選挙は4月26日が投票日だ。
「統一地方選なんてよくわからないし、興味もない」という人もいるかもしれないが、今回の統一地方選にはどんな争点があるのか、そもそもなぜ日本の地方選挙は注目されないのか、などについて、注目すべき選挙区を紹介しつつ、解説しよう。
たかが一票、されど一票。有権者なら統一地方選に行こう――。それが、筆者が伝えたいメッセージである。
まず、地方選挙への関心が近年なぜ薄れているのか考えたい。
憲政史上最低投票率――。2014年12月14日投開票の衆院選では、投票率の低迷が問題視された。しかし、実は地方議会・首長選挙においては、それをはるかに下回る投票率が一般的である。国会議員よりも地方議員の方が住民に身近――だと思いきや、「テレビや新聞」で見ることが多い国会議員のほうを身近に感じる人の方が多かったりするのが実情だ。
たとえば、政令指定都市である浜松市(人口80万人)の市長選でさえ、前回は「無投票」で現職が再選。市町村・都道府県議会議員選挙でも、「無投票」は少なくない。有権者の投票への関心が低いだけでなく、地方議会議員に立候補する人材も少なくなっている。
高齢化や人口減少が進み、議員を目指す若者が見つからない。一部の自治体では、議員のなり手を探すため、議員報酬を引き上げたりするところもあるが、筆者はこの施策には疑問を感じている。立候補を躊躇する人の立場に立てばわかることだが、当選した後の待遇よりも、落選した場合のリスクを案じて政治の世界に足を踏み入れることができないのである。