先発4投手がCS同様の働きをすれば「阪神がかなり有利」

 明日25日から、阪神甲子園球場で日本シリーズが開幕する。セ・リーグは阪神、パ・リーグはソフトバンクがそれぞれ日本シリーズへの切符を手にし、2003年以来11年ぶりとなる顔合わせとなった。

 今季リーグ戦最終戦で2位に滑り込み、CSファーストステージでは広島を1勝1分で下し、ファイナルステージで巨人相手に4連勝で勝ち上がってきた阪神タイガース。CSでは試合を重ねるにつれて打線が繋がり、投手陣も盤石の仕事ぶりを見せた。

 果たして阪神は、日本シリーズでどんな戦いを見せるのか。スポーツコメンテーターの飯田哲也氏に聞いた。

「阪神はCSで、今シーズン一番良いような状態で戦うことができ、勝ち上がることができました。チームには間違いなく勢いが出ていると思います。ただ一方で、CS終了から日本シリーズ開幕まで1週間ほど空いているのが気になります。シーズンが終わってからシリーズまでの休みは、チームの流れを変えてしまうことがままありますから。この1週間、どう調整してきたがポイントになると思います」

 阪神はCSのファイナルステージで、チーム打率.289を記録した。特に1番西岡、4番ゴメスの好調ぶりは顕著だった。また、メッセンジャー、能見、藤浪、岩田の先発4本柱も、それぞれしっかりと試合を作った。チーム全体が勢いに乗っている中で、カギを握る選手は誰になるのだろうか。

「シリーズでカギを握りそうなのは、西岡ですね。もともと派手な舞台を得意とする選手ですし、ここにきて調子を上げてきています。阪神は強力なクリーンナップを持っていますから、彼の出塁率が試合の流れを作っていきます。2番を打つ上本も調子を取り戻してきていますし、この1、2番は相手にとって嫌だと思います。

 ピッチャーに関しては、藤浪が同様にカギを握ると思います。メッセンジャーと能見は経験もありますし、ある程度計算が立ちます。そこで重要になるのが、3番手、4番手のピッチャー。メッセンジャーは中4日での登板が可能なので、恐らく第1戦と第5戦の先発を担うでしょう。能見を2戦と7戦と仮定すると、第3戦の登板が予想される藤浪がどんなピッチングを見せてくれるのか。

 岩田も含めて、阪神は先発投手が4人確実に計算できるので、谷間は1試合生まれるかどうか。この4人がCS同様、自分たちの仕事を果たしてくれれば、かなり阪神は有利に戦えると思います」

呉昇桓は巨人戦で2連続被弾も不安なし

 先発投手陣は安定した力を持っている。リリーフ陣は安藤、福原と経験のあるベテランが控えており、守護神、呉昇桓(オ・スンファン)もCSでは6連投と馬力を見せた。しかし、巨人との最終戦では疲れからか球威が落ち、2連続被弾など不安の残る投球を見せた。

「最終戦の呉昇桓は、点差もかなりあって余裕がありすぎ、上手く力が入らなかったのだと思います。それは全然気にならないし、シリーズでは問題なく投げてくれると思います。

 阪神はチーム自体が好調なので、一番はこの休みの間にその流れを落とさない調整ができるかにかかっていると思います。チーム状態を維持してシリーズに臨めば、良い戦いを見せてくれると思います」

 阪神は、2005年以来9年ぶりの日本シリーズ進出となる。2005年はロッテと対戦し、4連敗。得点4、失点33と、厳しい結果に終わってしまった。メンバーの多くは入れ替わったが、安藤、関本、鳥谷、能見、福原は当時を知る選手たちだ。あの屈辱から9年、そして最後の日本一から29年。伝統の縦縞は日本一を勝ち取ることができるだろうか。

飯田哲也プロフィール
スポーツコメンテーター。1968年東京都出身。1987年に捕手としてヤクルトスワローズに入団、主に外野手としてヤクルトの1番バッターを長く務めた。2005年からは2年間楽天イーグルスに在籍。2006年に現役を引退すると、古巣ヤクルトで2013年まで守備・走塁コーチを務めた。
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