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「おかしなうまい棒スティックパーティー」
「おかしなカキ氷 ガリガリ君」
「おかしなフリカケ」
「おかしなまぜまぜエッセスーパーカップ」
「おかしなグレフルチューチュー」
「ジョッキアワー」

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「父の日には何が欲しい?」「え、現金以外で?」という子供とのやりとりを聞かれたばかりに、妻の実家で守銭奴疑惑が勃発している杉江松恋です。みなさんも気をつけましょうね。
さて、来る6月17日は父の日である。困ったらカーネーションという手がある母の日と比べて、父の日って王道のプレゼントがないと思いませんか? 白状すると私も、いつもうまい贈り物が思いつかず、6月の第3日曜日をなんとなく苦手にしているうちに、肝腎の父が他界してしまった。駄目元でもっとお茶目なものとか贈っておけばよかった、と後悔しているのである。
その罪滅ぼしというわけではないが、今日は「父の日プレゼント」特集である。毎年ネクタイばかり、っていうのも芸がないしね。私の見たところでは、中年男性がもらうと無条件で喜ぶものは以下の3要素のどれかに関連したものである。

・童心
・健康
・ビール

最後が変だって? いいの、ビールは正義! この3要素に従って、今日はプレゼントの提案をしようと思います。

最初の「童心」については説明の必要もないだろう。どんな男でも、心の中には「永遠の子供である自分」をこっそり隠しているものである。普段はしかつめらしい顔をしているあなたのお父さんもきっとそうだ。だったら親子して童心に返って楽しめるグッズを贈ってみるのはどうだろうか。そこで提案したいのが、以下の2アイテムである。

1.「おかしなうまい棒スティックパーティー」
まず第1弾はこれ。童心といえば駄菓子、駄菓子といえば「うまい棒」である。1979年の発売開始以来、10円玉1枚で、しかもさまざまな味を選んで買うことができる手軽さで、子供の味方になり続けてきた駄菓子の王様だ。巷の居酒屋では夜な夜な「やはりサラミ味が一番だ」「いやチーズ味が」「コーンポタージュ味を忘れてもらっては困る」などと男たちのうまい棒談義が繰り広げられているという。
この「うまい棒スティックパーティー」は、筒の中にセットしたうまい棒をトコロテンの容量で押し出して縦に分割し、じゃがりこのようなスティック状にしてしまうというものである。普通に縦切りするスライサーの他にもう1つ、ねじり切りができるものがあるのがミソだ。ねじれた状態のスティックが1つのうまい棒から2つ取れる。2つのうまい棒を組み合わせれば、あなただけのオリジナルうまい棒ができるのだ(チョコ味、黒糖味などはサイズが違うので使えない)。
実際に実験してみたが、もともと味が近い「チーズ+ピザ」などは変化がわからず、「とんかつソース+コーンポタージュ」のように一方の味が濃いものは薄いほうの味が消えてしまうようだ。「サラミ+やさいサラダ」が試してみた限りではベストであった。あなたもお父さんと一緒にオリジナルうまい棒製作に挑戦してみてください。あ、スライスをするときにはかなり削りカスがこぼれるので、下に受け皿を置くのを忘れずに。

2.「おかしなカキ氷 ガリガリ君」
うまい棒ときたら次はガリガリ君だろう。コンビ二の定番商品であり、ボックスの前に行くとつい「今日は何味があるのかな」と覗きこんでしまう、誘蛾灯のような魅力のあるアイスである(私はコーラ味派なので、ソーダ味ばかり可愛がらないで、もっとコーラ味を生産してください、赤城乳業さん)。
そのガリガリ君を、かき氷状にすり下ろして食べることができるのがこのおもちゃである。円筒の先におろし金のような器具がついており、両側からはさむ形で固定したガリガリ君の先端に押し当ててすり下ろす(最初だけ力がいるが、少しアイスが溶けるとすぐに削りやすくなる)。円筒の中に直方体のガリガリ君がぴたっと収まるところはなかなかにメカニカルでかっこいいし、ハイキングで出かけたときにこれを持っていけば、野外で気軽にカキ氷を食べられる(受け皿は必要だが)。あの人気の梨味だってカキ氷にすることができるのだ。ん、なに? もともとカキ氷の食感をスティックアイスにしたところにガリガリ君の意味があるのに、それを元に戻してどうするのかって? 細かいことはいいんだよ!

3.「おかしなフリカケ」
「おかしなまぜまぜエッセスーパーカップ」
以上の2つは、参考出展としたい。両方とも中にお菓子を入れて砕くためのもので、フリカケのほうは顆粒状にしたものを文字通りご飯などに振りかけて食べられるわけだ。岩塩などの硬いものは無理なので(試した)、ミルのようにして使うことは不可能である。あくまでお菓子限定だ。スナック菓子を砕いてフリカケにすると中には美味しいものもあるが(以前にテレビ番組で紹介されていた、コイケヤのポテトチップ・ガーリック味などは本当においしい)、そもそもスナック菓子だったら容易に砕けるわけなので、この製品がどうしても必要というわけではない。いろいろなものを投げこんでブレンドしていると、魔女が秘薬を製造しているかのような気分になってくるので、そういうのは楽しいんだけどね。
まぜまぜエッセスーパーカップのほうも似たような商品で、チョコレートなどのお菓子だけではなく、カシューナッツやピーナッツなどの豆類も砕いて混ぜ合わせることができる。ただ砕くだけではなく、スーパーカップアイスの上にそれらを載せた後で、アイスとかき混ぜることができるのがおもしろいところだ。ただし、多少アイスが柔らかくなっていないと混ぜられないし、紙製のカップの上で力を使うのはコツがいる。子供が使うのにはちょっと無理がある商品で、amazonのカスタマーレビューにある批判はだいたい当たっている。だが、お父さんたちには嬉しい商品のはずである。サーティーワンなどの若者向けのアイス屋さんに入ることに抵抗があるお父さんは、まだまだ多いからだ。自分の父親が実はアイス好き、という人は試してみてもいいでしょう。

4.「おかしなグレフルチューチュー」
そして「健康」である。グレープフルーツが好きなお父さんたちは、結構多い。あの酸っぱい感じが体にいい気がするし、「ビタミン」なんて言葉も頭をよぎるからだろう。そのグレープフルーツを使って簡単にジュースを作ってしまおう、というおもちゃがこれだ。
構造はなかなかに凝っている。まず専用の道具でへたをとり、そこにこのおもちゃの先端を差し込む。上部のハンドルを回すと、中からだんだん刃がせり出してきて、グレープフルーツの果実を絞ってくれるというわけなのである。問題はこの過程で、だいたい100回程度はハンドルを回さないといけない。かなり、疲れます。そして力も要ります。グレープフルーツの皮から果汁が染み出してくることがあるので、手も汚れるし。だが、目の前の果実がそのままジュースの入れ物になるという体験は楽しいものなので、試してみるだけの価値はあると思う。
あ、使い終わった後は分解清掃が必須。グレープフルーツの果肉が内部にまで入りこむので、そのままにしておくと不衛生なのである。したがって、食事の後で絶対洗い物をしない、不精者のお父さんにプレゼントするときには、注意が必要だ。

5.「ジョッキアワー」
最後は「ビール」である。つい先日発売になったばかりのこの商品は、ビールをいつでも入れたての泡つきで楽しむことができるというものだ。原理は簡単で、ジョッキの底に震動によって発泡をさせるための仕掛けがついている。持ち手のスイッチを押すと、そこから泡が立ち上ってくるのだ。
何種類かで試してみたが、発泡酒ではあまりうまくいかず、ビールのほうが泡立ちがいいように感じた。また、プラスチック製なので、ガラス製のジョッキに比べてビールがぬるく感じるという欠点もある(飲んでしまえば同じなのだけど)。一般のジョッキと同様、やはり冷蔵庫などで冷やしてからビールを注いだほうが美味しいのではないか。
だが、ジョッキアワーの最大の魅力は「手軽に野外で泡ありビールが楽しめる」ということにある。向いているのはやはりアウトドア。バーベキューをしながらビールを、などというときにもっとも嬉しい商品だろう。丸焼きの塊からナイフで直接肉を削ぎとって口に放り込み、泡だったビールでぐいぐいと……と、あー、書いていてビールが飲みたくなってきた。花見に持っていくのもいいですね。形状は普通のジョッキと変わらないので、簡単に洗えて手入れが要らないのも魅力である。

 そんなわけで、タカラトミーアーツの商品から父の日のプレゼント向けのものを選んでみました。どうぞご参考にしてください。私は残念ながら実験用にこれらの商品を買ってしまったので、自分の子供からもらうことはできないんだけどね。
(杉江松恋)