大阪で発生した盗撮事件。容疑者逮捕はこのSDカードを飲み込んで証拠隠滅を図ろうとしたが、大阪府警が取った行動とは?

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見上げた捜査魂だ、大阪府警! まさか犯人のウンコまで調べ、事件を解決していたなんて―。

大阪市浪速区のアニメショップから「女性客のスカート内を盗撮した男を取り押さえた」と、110番通報があったのは5月12日の夕方のこと。

大阪府警浪速(なにわ)署の警官が駆けつけて男を尋問すると、なんと相手は55歳の中学校教諭。しかも、「盗撮なんかしていない」「自分の子供がアニメ好きだから、おもちゃを買って帰ろうと思っただけ」と、身の潔白を主張するではないか。

確かに、男の所持品を調べてもカメラ、メモリーカードといった盗撮グッズは見当たらない。

これでは逮捕できない―。

そんな状況を、男を捕まえたアニメショップ店員の証言が覆した。

「店員さんが、足早に立ち去ろうとした男のショルダーバッグをつかんだのですが、その瞬間、何かを口に放り込むようなしぐさを見せ、直後にガリッと硬いモノを噛み砕くような音がしたとのこと。『盗撮画像を保存したメモリーカードか何かを飲み込んだのではないか』と教えてくれたのです」(大阪府警・担当者)

その言葉で捜査魂に火のついた警官たちは、ショップ内をくまなく捜索することに。その結果、長さ7cmほどの超小型ビデオカメラをついに発見したのだ。さらに、

「店内の防犯カメラを精査すると、女性の後をつけ回す男の不審な行動も映っていました。ショルダーバッグの上部に超小型ビデオカメラを乗せ、そのバッグを女性の足元に差し込み、スカート内を撮影していたようです」(大阪府警・担当者)

この防犯カメラの映像と超小型ビデオカメラが決め手となり、男は翌13日未明、あえなく府迷惑防止条例違反容疑で逮捕されてしまった。

しかし、それで捜査は終わらない。男を送検するにはまだ欠けている物証がある。そう、盗撮映像を記録したメモリーカードだ。この欠けたピースを探し出してこそ、男を確実に罪に問える。

そこで大阪府警が取った行動とは―?

「病院に依頼し、レントゲン撮影をしてもらいました。すると、胃の内容物としては不自然な異物が数点確認された。ただ、それだけではその異物をメモリーカードとは証明できない。そこで下剤を処方してもらい、排便させ、それをザルに受けて水でこしました。すると、4分の1ほどの大きさのSDカードの破片が出てきたのです」(大阪府警・担当者)

実は逮捕後も、男は「身に覚えがない」「メモリーカードなんか飲み込んでいない。腹の中を探せるものなら探してみろ」と、頑強に抵抗していたのだとか。

しかし、自分のウンコから出てきたSDカードの破片を示されると、さすがにもう言い逃れはできないと観念したのか、盗撮を認める供述を始めたという。

ちなみに、その経緯を多くのメディアは次のように報じた。

「府警は男の体内からカメラのメモリーカードの一部とみられる破片を回収。その後の調べに対し、盗撮を認めたという」(産経新聞5月23日付)

「回収」という2文字でさらっと表現しているが、実際にはザルでウンコをこすという涙ぐましい努力があったのだ。

「悪いヤツを野放しにしていたら、また同じような犯罪が起きます。被害者のことを考えると、ウンコがどうこうなんて言っていられません。便をかき分けてでも物証を探し出すのは、警察なら当たり前の行動です」(大阪府警・担当者)

なんと、頼もしいお言葉。頼りないことも多いけど、今回の捜査は「いいね!」。拍手パチパチだ。

(取材/ボールルーム)