芝浦自転車研究所の所長である疋田智氏が、自身のYouTubeチャンネルで「電動キックボード「LUUP」の影に隠れた事故の本質とは?」を公開した。動画内では、東京都内で発生した特例特定小型原動機付自転車(電動キックボード)の死亡事故を取り上げ、世間の「キックボードの運転が悪い」という認識に対し、真の原因はインフラの構造的欠陥にあると強い懸念を示している。

動画で疋田氏は、東京都北区の王子三丁目交差点で起きた死亡事故の概要を解説。同じ方向へ進んでいた直進の電動キックボードと、右折しようとした軽トラックが衝突した痛ましい事故だが、「交差点の作りこそヤバい」と自身の見解を展開した。疋田氏が現場を調査したところ、電動キックボードは道路右側の自転車横断帯を直進(事実上の逆走状態)しており、右折する軽トラックの死角から進入する形になっていたことが判明した。

なぜこのような逆走状態が合法となっているのか。疋田氏は、現場の交差点にかかる歩道橋に自転車用のスロープがないことが原因だと指摘。「歩道からの自転車に配慮して、ここでも自転車横断帯は対面通行になっている」という事実を示し、本来は左側通行であるはずのルールをインフラの都合でねじ曲げている現状を批判した。さらに、電動キックボードに歩道通行を認める「特例」がなければ、原則通り車道の左側を通行していたはずであり、「今回の事故はおそらく起きなかった」と断言している。

最後に疋田氏は、南麻布の天現寺橋交差点など、同様の構造的な危険を抱える場所が都内にはいくつも存在すると警告。「目の前の事故は防がないといけない」と述べ、歩道橋ありきの不自然な交差点構造の改善と、電動キックボードの歩道通行を許可する特例制度の見直しを強く訴えかけた。

チャンネル情報

自転車ハカセ・自転車ツーキニストの疋田智です。デビュー作『自転車通勤で行こう』(WAVE出版・1999年)からはや四半世紀、ずーっと自転車のことばかりを考え続けて生きてきました。自転車関連の著書は約30冊、自ら発行するメールマガジンは1000号を超え「CYCLE SPORTS」誌をはじめ雑誌連載も色々と複数継続中です。