【玉ノ井親方 視点】大の里は相撲が軽い 以前のような相撲を取れるようになるまで、今は辛抱の時
◇大相撲名古屋場所2日目 ○藤ノ川(突き落とし)大の里●(2026年7月13日 IGアリーナ)
大の里は相撲が軽い。焦って取って、自分から流れを悪くした。
相手の藤ノ川は身長1メートル77センチ、体重123キロで今の幕内力士の中では“小兵”の部類。その相手に中に入られたとしても、どっしりと構えて取っていれば、主導権を握って対応できたはずだが、2場所連続で休場し、相撲勘もにぶっていたせいか、勝ち急いで墓穴を掘った。
勝敗を分けたのは、得意な形になった後の攻め方だった。立ち合いで当たって、すぐに右を差したところまでは良かった。しかし“勝ちたい”“早く勝負を決めたい”という焦りが隙を生んだ。差し手の方に寄っていくのが定石なのに、勢いのまま真っ直ぐ前に出ていって相手に左に回り込まれてしまった。そのため十分な圧力をかけられず、しかも思うように足がついてこなかったこともあり、腰が浮く形になって逆転の突き落としをくらってしまった。
足がついてこなかったのは、休場が続いて十分な稽古ができていなかった影響もあっただろう。今場所前の稽古で、琴桜と胸を合わせた時も右を差すことはできていたが、足が前に出ていなかったのが気になっていた。
横綱の相撲は四つに組んで取るスタイルではない。武器は右を差して前に出る圧力と左からのおっつけ。そして懐の深さだ。横綱まで駆け上がっていった頃はそれが際立っていた。
左肩の状態は、悪くはないだろうから、以前のような相撲を取れるようになるまで、我慢するしかない。一つ勝つまでは大変だが、横綱なのだから、それを早く思い出さなければいけない。結果が出れば気持ちも楽になるし、ポンポンと勝ち続けられるようにもなる。今は辛抱の時だ。(元大関・栃東)

