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 ◇第108回全国高校野球選手権山梨大会2回戦 山梨学院4―0巨摩(2026年7月12日 山日YBS)

 今秋ドラフト1位候補に挙がる山梨学院の菰田陽生(こもだ・はるき)投手(3年)が12日、巨摩との2回戦で昨秋の明治神宮大会以来の公式戦登板を果たした。4点リードの9回から救援し、最速147キロの直球を軸に1回無安打無失点で8強入りに貢献した。打っては7回の第4打席で左翼フェンス直撃の二塁打をマーク。二刀流完全復活を印象づけた。

 菰田はあの夜を忘れない。今春選抜の初戦で長崎日大に勝った3月22日。一塁守備の際に走者と接触して左手首を痛め、試合後に「骨折」の診断を受けた=写真。大阪府吹田市内の宿舎に戻ると、痛々しいアームホルダー姿に仲間たちは「投げられない」と察した。沈むエースを見かねた吉田健人部長は「びっくりドンキー」に誘い「この経験を必ず成長につなげよう」と2人で約束ハンバーグでほっぺを膨らませた菰田は深く、うなずいた。

 両親、祖父母、チームメート、指導者、学校の教員、そして密着マークを続けるスカウトの誰もが「菰田は人間性が良い」と口をそろえる。約束を必ず守る男だからだ。4点リードの9回。「3番・DH」で出場していた菰田が昨秋の明治神宮大会以来238日ぶりのマウンドに駆けた。2四球を許すも1回を無安打無失点で2三振に「公式戦で投球をしたい気持ちがあった。投げている時はやっぱり楽しい」。32球で約束の進化を体現した。

 1メートル95、102キロの巨体から投げ下ろす直球は最速147キロをマーク。1死から3番への2球目は空振りを奪った144キロが右打者の体に当たるほど食い込んだ。最後はフォークで空振り三振を奪い、2死一、二塁からはカットボールで空振り三振締め。投げられない期間に走り込み、フォームの安定感が増したことで「変化球で三振を取る形ができた」と成長を実感した。

 6日の初戦は8球団15人のスカウトの前で高校通算39号を放ち、この日は4球団5人に二刀流完全復活をアピールした「ネクスト大谷」。DeNAの木塚敦志スカウトは「貴重な存在。スケールは大きいし、大きく成長する未来の姿が想像できます」と評した。

 駿台甲府との準々決勝へ「次の試合も投げると思うので、いい形で準備をしていきたい」と一歩ずつ踏みしめる大器。実はあの夜、約束がもう一つ。ハンバーグをのみ込んだ菰田はこう返した。「甲子園で優勝してもう一度、日本一の部長にします」(柳内 遼平)