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生成AIの台頭と、加速する市場の熱狂

OBSラジオ番組「加藤秀樹が語る、日本の未来構想」にて、構想日本の加藤秀樹代表が、今ブームのようになっているAI(人工知能)の本質や問題点、そして未来への提言について語った。

【写真を見る】AIは本当に人間を超えるのか? 過去データしか見ない「3つの限界」vs「人間の思考」

イーロン・マスク氏率いる「スペースX」が上場し、12兆円もの巨額資金を集めたニュースや、アンソロピック、OpenAIといったAI開発企業が今年中に続々と上場を見込んでいる現状を見ると、これからは誰もがAIと付き合わざるを得ない世の中になる。「そもそもAIとは何なのか」「AIは人間を超えるのか」という根本的な疑問について、きちんと整理しておこうという趣旨だ。

AIが人間を超えることは「ない」――すべては確率の計算

「AIは人間を超えるのか」という問いに対し、加藤氏は「超える」の意味を考えるべきだと言う。記憶力や計算スピードにおいては、新幹線が人間よりはるかに速く走るのと同じように、すでに人間を凌駕しているが、人間のすべての能力と比べると明確に「ノー」と断言する。

その理由は、AIはあくまでコンピューターで計算を行う「機械」であり、行っていることはすべて「確率の計算」に過ぎないからだ。 AIは、世の中に出回っているデータや文章の組み合わせから、「この質問にはこういう答えを出すと求められていることに合う確率が高い」と計算し、単語を一つひとつ確率に基づいて並べているだけである。

そこに感情や感性、相手への配慮といったものは一切存在しない。何度もやり取りを重ねることで、AIが相手の気持ちに寄り添ってくれるように見えることもあるが、それも相手の傾向に合わせて確率を調整しているに過ぎない。

AIは質問の「意味」を理解しているわけではないのみならず、AIにとって「意味」というものがそもそもないのだ。だから「AIが質問者の意味を分かって寄り添ってくれている」と騙されてはいけないと加藤氏は指摘する。

AI「3つの限界」 

AIという言葉が生まれたのは実は1956年に遡り、1980年代の第二次ブームを経て、現在は「第三次ブーム」にあたる。

今回AIが広く普及したのは、脳の反応を模した計算手法(ディープラーニングなど)が開発されたことと、スマートフォンの普及などによって「ビッグデータ」を活用し、膨大な量の言葉を並べる確率計算の精度が飛躍的に高まった(大規模言語モデル)ためだ。しかし、加藤氏は現在のAIにはいくつかの大きな問題があると警鐘を鳴らす。

第一に、データが少ない特殊な領域では答えの不正確さが目立つ点だ。

第二に、現在の主要なAIはアメリカのメーカーが主導しているが、データが特定の国の価値観に偏ったり、意図的な操作を受けたりする危険性がある。

第三に、AIのデータはすべて「過去にデータとして記録されたこと」に限定されるため、人間がこれまで経験したことのない前代未聞の事柄や、本当にクリエイティブな状況判断には対応できないという点である。

データに現れない人間の複雑な思考と「勘」の重要性

加藤氏は、ビッグデータといえども人間の行動や思考のごく一部に過ぎないと語る。例えば会議の場において、公式な発言は議事録としてデータ化されるが、参加者の頭の中にある「その言い方は気に食わない」「もっと丁寧にやるべきだ」といった微細な感情や反応はデータには現れない。

人間は常に気温や風、周囲の音など多様な情報をその瞬間に総合して判断している。毎日同じことをしているようで、生き物としての人間にとっては瞬間毎に新しい経験、判断をしている。AIにはそれができないのだ。

部活動の厳しい監督の背後にある「しっかり育ててやろう」という思いやりも、AIには理解できない。番組内では、巨人の阿部監督の娘が父親に怒られた際、AIに相談したところ「児童相談所に連絡しろ」と機械的に返答されたという、状況の文脈を汲み取れないAIの特性を示す具体的なエピソードも紹介された。

AIが抱えるエネルギー問題 

こうした特性を理解した上で、加藤氏は「AIが出した答えは、どこまでいっても機械が確率的に計算して出してくるもの、ということを忘れないようにしないといけない」と語る。AIは事実の確認や整理、まとめとして活用する程度にとどめ、人間自身は「こういう時はこうだろう」という勘を養い、日々よく観察することが重要である。

また、加藤氏は、AIの消費電力についても警鐘を鳴らす。人間の脳が普段約20ワット程度のエネルギーで動いているのに対し、AIはその何千倍、何万倍もの莫大な電力を消費している。この膨大なエネルギー消費が、エネルギー価格の高騰や地球温暖化につながっているという事実も、私たちは頭に入れておくべきだ。

AIが出す数字や回答に一喜一憂するのではなく、これを機に、人間のあり方や幸福の価値観そのものを見つめ直すこと。それこそが、私たちの未来をより豊かにする鍵となる。