引退演武を終えた清水希容に並ぶ笹川堯氏

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「昭和の怪物」「右翼のドン」と称された元日本船舶振興会会長・笹川良一氏が遺した“ファミリー財団”が揺れている。60年近くにわたり笹川一族がトップに君臨するも、ここにきて不祥事が相次ぎ、組織を牛耳る“自民重鎮”にも批判の矛先が向き始めている。

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“土日には仕事をしない”

 アマチュア空手界を統括する組織として、文部科学省が認める国内唯一の団体が公益財団法人・全日本空手道連盟(全空連)だ。

 1995年に死去した笹川良一さん(享年96)の跡を継ぎ、「2代目会長」に君臨したのが、次男で元自民党総務会長の笹川堯(たかし)氏(90)である。衆院議員として7期連続当選を飾り、「自民重鎮」として科学技術政策担当大臣や衆院予算委員長などを歴任。今年3月には『最後のドン 独占インタビュー 昭和・平成 怪物秘録』という書を上梓して話題を集めた。

引退演武を終えた清水希容に並ぶ笹川堯氏

 昨年6月、全空連会長から名誉会長へ退いた堯氏に代わりトップに就いたのが、堯氏の長男・泰弘氏(63)の息子である善弘氏だ。ところが、この大抜てきが内部で混乱をもたらしているという。

 全空連関係者が言う。

空手の大会は週末に開かれることが多く、トップが来賓あいさつするのが習わしです。しかし“土日には仕事をしない”というポリシーの善弘さんが姿を見せることはなく、いつも名誉会長の堯さんがあいさつを行っている。その堯さんは無給で会長職を務めていましたが、善弘さんは副会長時代に月額40万円、会長になると同70万円の報酬を受け取っています。先代と比べると、どうしても仕事ぶりに物足りなさを感じてしまうのです」

不正受給問題

 会長としての資質に疑問符を突き付けられる一方で、推挙した堯氏への不信の念も広がっている。

 きっかけは、全空連傘下の地域団体の一つ、京都府空手道連盟(京空連)で発覚した不正受給問題だった。

「一昨年の12月、地元・京都新聞が府の交付金を京空連が不正受給していた事実を報じました。交付対象外の宿泊費や交通費などを申請し、2018年度と19年度で計75万円を不正に受け取っていたという内容です。報道を受け、京空連はHPで“前事務局長が誤って申請したもの”と釈明したのですが、名指しされた本人は猛反発。昨年1月、釈明文を書いた会長の阪梨學氏を名誉毀損で訴える騒動へと発展しました」(京空連関係者)

 当の元事務局長に話を聞くと、

「HPに書かれたことは事実無根です。むしろ私は当時、私たちも知らなかった交付金の二重請求や不正会計などについて調査していたのです。ところが不正受給が発覚すると、彼らは私を“犯人”に仕立て上げ、追及をかわそうとした。釈明文は約1カ月後に何の説明もなく削除されたことからも、虚偽だったのは明らか。阪梨氏からは示談の打診もありましたが、私が釈明文の掲載経緯や交付金不正受給の真相を公開するよう求めると“無理だ”と拒否されました。そのため、裁判は今も継続中です」

 阪梨氏の自宅を訪ねると、

「弁護士に任せているので、お答えできない」

 と口を閉ざす。

用意されたポスト

 京空連は昨年7月、内部調査の結果として、新たに国や京都市の補助金約130万円を不正受給していた事実を公表したが、

「その後、体制を刷新して、阪梨氏も退任することになりました。ところが今年になって、彼に用意された新ポストを聞いて驚きました。全空連の協力団体で、最大の会員数を擁する全日本空手道松涛館(全空松)の会長に近く就任予定だというのです。不正受給を巡る一連の対応で批判を浴びたものの、堯さんの推薦があったそうで、“栄転”になってしまったんです」(前出の京空連関係者)

 前出の全空連関係者は、

「公益財団法人でありながら、一族で組織を60年近くも牛耳るなど、冷静に考えればおかしなことです。全空連には昨年までの5年間で、文科省外局のスポーツ庁から計3億円を超える補助金が交付され、“私物化”など許されない。最近の騒動は、まるで長年の膿がここへきて一気に噴き出したかのようです」

 さらに深刻な不祥事もある。昨年7月には全空連の協力団体の系列道場で、女子中学生への暴行事件が起きているのだ。逮捕後、暴行に加えてわいせつ行為があったことも判明している。6月4日発売の「週刊新潮」では、全空連にまつわるトラブルについてさらに詳しく報じる。

「週刊新潮」2026年6月11日号 掲載