アンリアレイジの2025年秋冬パリコレ凱旋ショー - “液晶のように光り、変化する”近未来の洋服

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アンリアレイジ(ANREALAGE)が、パリファッションウィークで発表した2025-26年秋冬コレクションの凱旋ショーを2025年5月17日(土)、東京ビックサイトにて開催。ランウェイには、Snow Man(スノーマン)のラウールが登場した。

「スクリーン」をテーマに掲げたコレクション

「SCREEN」をテーマに掲げた今季のアンリアレイジ。黒い服を"液晶スクリーン"に見立て、そこに多彩なカラーやパターン、グラフィック、メッセージを映し出すことで近未来のファッションの可能性を探っているのが特徴だ。

今回は、パリで発表した最新コレクションを収容人数5,000人規模の壮大なステージで披露。新たにルックが追加されたほか、ランウェイ終了後には世界的に注目を集めるクリエイティブ集団「エムプラスプラス(MPLUSPLUS)」による革新的なLEDダンスパフォーマンスも行われ、東京ならではのコレクションへとスケールアップした。

無限の可能性を秘めた“黒い服”

ショーのオープニングを飾ったのは、闇と溶け合うような“真っ黒”のワンピース。近年のアンリアレイジには珍しく、誇張したシルエットや華美な装飾もない、シンプルな1着だ。続くルックでも黒のロングコートにドレープを効かせた黒のパンツ、ブーツを合わせた“オールブラック”のスタイリングが提案され、この先に続くコレクションの期待感を静かに高めていく。

ファッションの楽しさを呼び起こす“遊びのある服”

やがて、ショルダーラインを極度にとがらせたニットや、中世ヨーロッパの貴族を思わせるボリューミーな襞襟、ふんわりと空気をはらんだバルーンパンツなど遊びの効いたピースが登場し、徐々に楽し気なムードに。「ファッションは自由だ!」そう言わんばかりに、スポーティなジャージやスウェット、フェミニンな刺繍カーディガンまで、多彩なテイストの洋服がランウェイを彩った。

液晶スクリーンの光線をパターンに昇華

ファッションの楽しさを再確認したところで、いよいよメインの章へと突入。現れたのは、液晶スクリーンに映る光線をそのままデザインへと昇華させた洋服たちだ。鮮やかなRGBのドットが、ひし形やボーダー、ブロック、フラワーモチーフ、幾何学模様といった多彩なパターンへと形を変え、衣服をポップに彩っていく。ブロック状の角ばったシルエットは、スクリーンの中にいるオンラインゲームのアバターを彷彿とさせる。

パリでの発表と異なるのは、これらのウェアをよりカジュアルに提案していること。デニムパンツやスニーカー、キャップと合わせたコーディネートによって、日常に寄せた着こなしを披露してみせた。

変幻自在なデザインを可能にする“LEDテキスタイル”

フィナーレに向けて、“液晶スクリーンそのものを纏う”デジタル世界が幕開け。約1万個のフルカラーLEDを組み込んだテキスタイルをエムプラスプラスと共同開発し、“液晶のように表情を変える”洋服を作り出した。

一見ただの黒い服に見えるが、これらは単なる服ではない。光の宝石のように輝くニットや、脈打つようにボーダーやストライプが移動するドレス、歩みを進めるたび変化するチェック柄のパンツが、めくるめく視覚の狂騒を生み出す。様々なパターンが万華鏡のように顔を出し、1秒前の服のデザインはもはや存在しない。

ラストは、すべての服のパターンが同期され、まるでビッグバンのように絶えず変化。やがて色とりどりのステンドグラスが現れ、星々の爆発のように宇宙へと広がり、そして元の黒へと消えていった。

デザイナー・森永邦彦は、現実世界においても衣服がアバターのようになり、プログラムをダウンロードすれば、自由自在にデザインをアレンジできるようになる未来を目指しているという。実際、気分に応じて瞬時にデザインを変えられる服が当たり前になったら、世界はもっと楽しくなりそうだ。「まるで生命のように変化し、最終形が存在しない服。」既存の常識を覆す今回のコレクションからは、ファッションの新たな時代の幕開けが感じられた。


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