NY市場では、終盤にかけてドル高が再燃した。取引終盤にかけてパウエルFRB議長の講演が伝わり、ドル高の反応を強めている。議長は「利下げを急ぐ必要性を示す経済状況ではなく、慎重に決断を下すことができる」と述べた。また、「政策はより中立的な設定に移行している」とも語った。これを受けて市場は12月利下げの期待を再び後退させており、OIS市場では利下げの確率が50%を割り込んだほか、CMEのフェドウォッチでも60%程度まで利下げの確率が低下。ドル円は155円台後半に調整されていたが、発言後は156円台を回復している。ユーロドルは一時1.05ドルを割り込んだ後、NY時間に入って1.05台後半へと買い戻しが出ていたが、パウエル議長の講演を受けて再び1.05台前半に下落。市場はECBが12月に25bpの利下げを実施すると見込んでいるが、徐々に大幅利下げ観測も増えつつあるようだ。ポンドドルも1.27台に買い戻されていたものの、再び1.26台半ばに下落した。タカ派で知られるマン英中銀委員は「待つことはインフレリスクを認識するための時間」と利下げに慎重な姿勢を堅持していた。

(15日)
 東京市場では、ドル高が一服。ドル円は東京午前に前日高値156.42近辺を上回ると高値を156.75近辺まで伸ばした。ただ、加藤財務相の発言を受けた介入警戒感などもあって上昇一服。同財務相は、行き過ぎた動きには適切な対応を取る、投機的な動き含め極めて高い緊張感を持って為替を注視などの発言を行っていた。日本時間午後3時台には156円手前水準まで安値を広げる動きに。ユーロ円は165円台では売りが入り、ロンドン勢の参加を前に164円台後半で推移している。ユーロドルは1.05台前半で底堅く推移。日本時間午後3時台には米債利回り低下に反応して、1.0560付近に上昇している。

 ロンドン市場では、ドル売りが優勢。トランプ相場のドル買いの動きに、週末を控えた調整が入っている。ドル指数は6営業日ぶりの低下となっている。ドル円の下げが目立っており、156円台割れから155円台前半へと反落している。米債利回り低下に加えて、ドル円にとっては加藤財務官の円安けん制発言や、来週月曜日の植田日銀総裁の経済懇談会および会見を控えて12月利上げ示唆への思惑もでていた。したがって円買いの面も強く、クロス円は下落している。ユーロ円は164円台後半から前半へ、ポンド円は198円台前半から196円台半ばへと下落。円相場とは対照的にポンドが軟調。ロンドン朝方に発表された英月次GDPが予想外のマイナス成長となったことに反応した。総じてドル売り優勢となるなかで、ポンドドルは1.26台後半から半ばへと一時下落。その後も日中の高値水準を更新できていない。対ユーロではポンド売りが続いている。ユーロドルは堅調で、1.05台前半から後半へと上昇。
 
 NY市場でドル円は一時153円台まで急落。東京時間の高値156.75から3円近く下落する場面が見られた。欧州通貨が下落し、クロス円が下落する中、ドル自体は上昇していたものの、それ以上に円高圧力がドル円を圧迫した模様。きょうの日本のGDPを受けて12月の日銀の利上げ観測が再び高まっていることも円買いに繋がった可能性もありそうだ。実質賃金は依然マイナスではあるものの、GDPでは個人消費の底堅さが示されていた。