ホラー作品では、登場人物が直面する恐怖や不安といった感情をありありと描き出し、読者や視聴者にも同じような恐怖や不安を感じてもらうことが重要です。ホラーを彩る感情を引き起こすための「ホラーの言語」について、ホラー小説賞の受賞歴がある作家のブライアン・エヴェンソン氏が語っています。

Brian Evenson on Finding the Language of Horror ‹ Literary Hub

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エヴェンソン氏はホラーを書き始めた理由について、「制御された空間で最悪のシナリオを想像し、それがどのように展開する可能性があるかを理解しようとするためだったと思います」と述べています。エヴェンソン氏は子どもの頃に怖がりな傾向にあり、実際に体験した高所や暗所から必要以上に悪い想像をしてしまい、恐怖にめまいを感じるようなことも多かったそうです。そのような経験から、恐怖を言語化して制御し、方向付けることができていたことが、ホラーを執筆する原動力になったとのこと。

ホラーを書こうとして「読者を怖がらせよう」と思っても、たいていはうまくいきません。一方で、自分自身が怖いと感じるものや不安に感じる状況を、読者に「共感」してもらう方が、うまく伝わる傾向にあります。そのためエヴェンソン氏はホラーを書くコツのひとつとして「ホラーを書くということは、自分の心に響くもの、世界には何かおかしい、恐ろしい、あるいはおかしいと感じさせるものに触れることです」と語りました。



ホラーを記述するためには、自分の体で感じた恐怖や違和感を思い出し、それがどんな感じだったか、自分の体がどんな感じだったかを思い出し、それを読者と共有する適切な言葉を見つけることが重要です。その上で、エヴェンソン氏によると、ホラーの効力をさらに高めるためには、リズムや音、ちょっとした言葉遣いが読者に与える小さな刺激とフックに注目する必要があるとのこと。エヴェンソン氏の場合、このような細かいポイントは修正中に直感で見つけることが多いそうです。

エヴェンソン氏は恐怖や不安を感じさせるホラーの言語について「その言葉選びが正しいとわかるのは、その言葉が正しいと感じられるからです。一度自分が『暗闇への扉』を通り抜けた経験があるならば、見渡す気になれなかった恐怖を感じさせる景色や、ドアの隙間から見えるもっと深い闇の中で何かが起こっているかもしれない部屋に、あなたを連れ戻してくれると直感させる言葉が見つかるはずです」と述べています。