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 中国・深セン市の日本人学校に通う10歳の日本人男児が9月18日、中国人に刃物で刺されて翌日に亡くなった事件について、中国当局は未だ事件の真相を明らかにしていない。ところが、横から口を挟む中国人がいるという。

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 中国事情に詳しいジャーナリストの高口康太氏は言う。

「8月にNHKのラジオ国際放送で不適切発言を行ったため契約を解除された中国人スタッフが、今回の男児刺殺事件について中国のSNS“ウェイボー(微博)”に書き込みをしているんです」

 8月19日、NHKのラジオ国際放送など中国語ニュースの中で、靖国神社の石柱に中国語に似た文字の落書きが見つかったというニュースを伝えた際、中国人の外部スタッフの男が「“軍国主義”“死ね”などの抗議の言葉が書かれていた」という文言を勝手に付け加えて放送。さらに、以下のような発言を行った。

NHK

「釣魚島と付属の島は古来、中国の領土です。NHKの歴史修正主義宣伝とプロフェッショナルではない業務に抗議します」(中国語)

「南京大虐殺を忘れるな。慰安婦を忘れるな。彼女らは戦時の性奴隷だった。731部隊を忘れるな」(英語)

 もちろん放送原稿にこのような文言はない。NHKは生放送中の出来事に対応できず、21日付でこの男との契約を解除。この男は2日後の23日に中国に帰国した。NHKは未だにこの男の名前等を明かしていないが、ウェイボーでは“treetalk”と名乗っているという。

 前出の高口氏は言う。

「ウェイボーへ書き込みを始めた時期や内容、同じアカウントでTikTokにNHKラジオ国際放送が上げられていることから、本人の可能性が高いと考えられます」

 自身が引き起こした事件については、その放送時間から“22秒事件”と自称しているという。そんな男が、日本人児童が亡くなった翌日に以下のような書き込みをしていた。

安倍政権のせい

《在中日本人と在日中国人の生活基盤を揺るがす主犯は、安倍(晋三)首相が二度目の政権に就いてから強めている歴史修正主義路線である。これが「22秒事件」の直接のきっかけであり背景でもある。日本政府とメディアが事実を無視した主張を続ければ、両国国民のすでに脆弱な感情を傷つけ続け、双方の国にある非理性的な事件を引き起こすことになる。日中の事件の違いは程度の差だけだ。》(9月20日)

 高口氏は続ける。

「要は、今回の事件が起きたのも、さらに自分が引き起こした事件も、第2次安倍政権で日本の軍国主義が先鋭化したのが悪い、といった内容です。また、別の投稿には《日本は中国が反日教育をしていると言うが、日本も第2次安倍政権で反中教育を始めたので、どっちもどっち》といった書き込みも見られます。とはいえ、日本の中国人学校で中国人の子供が殺されたわけではありません。何をか言わんや、といった内容でしかありません」

 それでもこの男のウェイボーには、現在12万4000人ものフォロワーがいる。

「まあ14億人もの人口を抱える中国ですから、中には1億人のフォロワーがいる人もいるんです。12万程度でしたら、日本であれだけ報道されて注目されたわりには、それほど注目されていないのでしょう。文章も硬いので、あまりネット民には受けていないようです。中国では靖国神社に落書きをした犯人のほうが、彼より余程“英雄”扱いされていますよ」

 それもこれも反日教育の賜物ではないか。

デイリー新潮編集部