シリーズ読者投稿〜あの時、あなたに出会えなければ〜 投稿者:Iさん(岡山県・40代女性)

Iさんが初めて新幹線に乗ったのは、小学校6年生の時だった。

新幹線どころか、電車で長距離移動したことも、乗り換えすらしたことがなかったのに、たった1人で岡山から大阪まで行くことになって......。

<Iさんの体験談>

小学6年の時、夏休みを利用して大阪に住む従姉妹の家に泊まりにいくことになりました。

ただ、行くのは私一人。

今までに遠距離の電車移動経験がなく、乗り換えなんてものも知らない私のことを心配した父親と祖母の提案で、新幹線で行くことになったのですが......。

父も祖母も新幹線の乗り方を知らなくて...

最寄り駅から岡山駅まで電車で行くと乗り換えが発生するので、父親の運転する車で岡山駅に到着。

そこから新幹線の切符を買いに行ったのですが、当時は特急券と乗車券を購入するのには窓口でその旨を伝えなければならなかったのに、父親も祖母も新幹線経験がないため乗車券しか購入していませんでした。

追加で買おうにも新幹線の発車時刻が迫っています。私は急遽、車内で特急券を購入することになりました。

しかし夏休みで車内は人でいっぱい。しかも私は一人きりだし、不安しかありません。

ようやく見つけた車掌さんらしき人に声をかけましたが、まさかの人違い。

あまりに恥ずかしくて、そのまま通路に立ち尽くしました。

すると、すぐ横の席に座っていた女性に声をかけられたのです。

「あなた切符がないの?」

「あなた切符がないの?」

「はい」と返事をして経緯を説明すると、その女性は車掌さんを見つけて呼び止めてくれました。

おかげで無事に新大阪までの特急券を購入でき、私は一安心。

しかも、その女性は偶然同じ新大阪まで行く人で、降りる時も一緒でした。

新大阪駅には叔母が迎えに来てくれているということを伝えていたので、一緒に探してくれて、無事に叔母とも合流できました。

「よかったね」

と一言だけ告げて去っていった女性。

あのときはテンパっていたためしっかりお礼を言えなかったのを今も後悔しています。


誰かに伝えたい「あの時はありがとう」「あの時はごめんなさい」、聞かせて!

名前も知らない、どこにいるかもわからない......。そんな誰かに伝えたい「ありがとう」や「ごめんなさい」を心の中に秘めている、という人もいるだろう。

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