金メダルに涙 “性別騒動”で渦中の女子ボクサーが“誹謗中傷”の非道さを訴え「攻撃は本当に酷かった。いじめはやめて」【パリ五輪】

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勝利に充実した表情を浮かべるケリフ。(C)Getty Images

 笑顔と涙が入り混じる勝利となった。

 現地時間8月9日、パリ五輪のボクシング女子66キロ級決勝が行われ、イマネ・ケリフ(アルジェリア)が楊柳(中国)と対戦。5-0とフルマークでの判定勝ちを収め、見事に金メダルを手にした。

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 相手は同階級の世界選手権覇者だったが、ケリフは初回から強烈な右ストレートなどを当てるなど、積極果敢なパフォーマンスを披露。楊柳が前に出た最終回も相手をいなしつつ、的確にパンチを当てて、ポイントを落とさなかった。

 今もケリフは性別を巡る騒動の渦中にいる。国際ボクシング協会(IBA)が主催した昨年の世界選手権では性別適格検査で不合格となり、今大会期間中も同団体から「男性」と指摘された。

 パリ五輪出場を巡っては、ボクシング競技の統括組織である国際オリンピック委員会(IOC)が「科学的根拠がある」と認可。「女性」としての参加を認められたが、自身の性別を巡ってインターネットで誹謗中傷が相次いでいた。

 そうした反発をはねのけての勝利に本人も感慨深げだ。涙しながら金メダルを掲げた表彰式後に英公共放送『BBC』などのインタビューに応じた25歳は「私は8年間、ずっと眠らずに働きました。アルジェリアのすべての人々に感謝したいと思います」と、騒動の最中も後押しを続けた母国のファンや関係者にメッセージ。そして、「私は女性です」と訴え、改めて激動の日々を振り返った。

「私は女性として生まれ育ち、女性として競技をしている。そのことに疑いの余地はないです。成功を望まない敵や私への攻撃がこの栄光を特別なものにしたんです」

 さらに批判を相次いだネット上の声については「攻撃は本当に酷いものだった。いじめはやめてほしい」と訴えたケリフは「彼らは敵。私の成功の敵であり続ける。そもそも、なぜ嫌われているかは分からない。自分の尊厳、名誉は何にも勝るものです」と力説した。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]