大谷翔平

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 ロサンゼルスタイムズ(電子版)は5月22日、「Dodgers star Shohei Ohtani buys La Canada Flintridge mansion from Adam Carolla for $7.85 million」(ドジャースのスター、大谷翔平がラ・カニャーダ・フリントリッジの邸宅をアダム・カローラから785万ドルで購入)との記事を配信した。

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 たちまち日米のメディアが相次いで後追い記事を配信したのは言うまでもない。ちなみに「ラ・カニャーダ・フリントリッジ」は、ロサンゼルス屈指の高級住宅街。大谷翔平に自宅を売ったアダム・カローラは、アメリカでは人気コメディアンとして知られている。

大谷翔平

 特にポッドキャストの番組が人気を博しており、2011年には冠番組が「世界で最もポッドキャストでダウンロードされた番組」としてギネスブックに登録された。

 785万ドルは最新のレートで約12億3000万円。敷地面積は約3800平方メートル、建物は3階建、寝室だけでも5部屋、バスルームに至っては8部屋もあるという。

 他にもジム、プライベートシアター、プール、バスケットのハーフコート……と、詳細を聞けば聞くほど、一般人には想像も付かないほどの“ウルトラ豪邸”だと分かる。担当記者が言う。

「大谷選手はドジャースと10年、総額7億ドル(約1096億円)という桁外れの大型契約を結びましたが、その大半は後払いです。もっとも、彼は20社近い企業と広告契約を結んでいるので、これだけでも巨額の収入を得られます。アメリカのスポーツビジネスメディアの『スポルティコ』は4月8日、プロスポーツ選手の年収ランキングを発表しました。1位がロナウド、3位がメッシとサッカー選手が目立つ中、大谷選手は約103億円で16位。これは野球選手では世界トップだったのです」

大谷の金銭感覚

 年収103億円なのだから、12億3000万円の豪邸を買っても何の不思議もない。だが、日本のメディアの中には意地悪な記事を配信したところもある。

「日本ハム時代の大谷選手は、お金を使わないことで有名でした。ところが4月、ハワイで約25億円の別荘を取得したことが報じられたのです。その際、不動産会社の公式サイトでPR役を務めたこともあり、Xなどでは『広告塔になってしまった』と落胆する投稿が目立ちました。一部のメディアはこうした流れを踏まえ、『25億円別荘の次は12億円の豪邸』と、大谷選手の金銭感覚が変わってしまったと指摘したのです」(同・記者)

 だがMLB研究家の友成那智氏に取材を依頼すると、ハワイの別荘はさておき、ラ・カニャーダ・フリントリッジの豪邸を購入したことこそ、大谷らしい「金銭への無関心」がよく表れているのだという。

「確かに大谷選手は広告収入が巨額という、他のメジャーリーガーにはない特徴があります。とはいえ複数年契約をするようなスター選手なら700万ドル台の豪邸を購入するのは、ある意味で当たり前です。上には上がいて、ヤンキースのスター選手だったデレク・ジーター氏は要塞のような豪邸を建設し、総額1200万ドル(約18億円)と報じられました。大谷選手の785万ドルはメジャーのスター選手としては“上の上”になるとはいえ、極端に高額というわけではありません」

節税効果

 超一流選手の“買い物”としては、常識的な金額のようだ。とはいえ、大谷が購入した豪邸は、とにかく広い。大谷夫妻だけで家の管理ができるはずもなく、ハウスキーパーなど様々なプロにサービスを依頼する必要がある。人件費だけでもバカにならないだろう。

 今のところは大谷夫妻と愛犬しかいないのだから、ロス中心部の高級マンションにでも住んだほうが便利なのではないか──こんな意見を持つ人もいるかもしれない。

「大谷選手のように巨額の収入を得ている場合、話は違ってきます。日本と同じようにアメリカでは住宅を購入することで節税ができます。言うまでもなく家は立派な資産ですし、超高級住宅街の大豪邸ですから値崩れのリスクも低いでしょう。大谷選手の資産が正しく運用されているという観点からも、今回の自宅購入は妥当な選択だったと言えるのではないでしょうか」(前出の記者)

セカンドハウスは当たり前

 どうやら大谷の選択は正しかったようだ。ところが友成氏によると大谷は一つだけ異例の選択をしており、それこそが「金銭への無頓着」を示しているという。

「メジャーのスター選手は、住むところも節税効果を考えて選ぶのが常識なのです。例えばドジャースで大谷のチームメイトであるムーキー・ベッツ選手は、テネシー州に700万ドルクラスの豪邸を所有しています。金額は大谷と同じ700万ドル台でも、節税効果が全く違います。大谷選手はロスに自宅を購入しましたが、この街は全米屈指の高い税金で知られています。一方、ベッツ選手が住んでいるテネシー州は税金が安いのです。大谷選手がロスに“本宅”を構えたということは、彼がいかに金銭に無頓着であるかを如実に示していると言えます」

 ベッツの場合、テネシー州の自宅からドジャースタジアムに通うことは不可能だ。そのため彼はロスにも家を所有している。このように複数の家を所有しているスター選手は珍しくないという。

購入の決め手は渋滞状況!?

「アメリカ人は家族との時間を大切にします。メジャーのスター選手はオフシーズンを、税金が安い州で取得した豪邸で家族水入らずで過ごします。シーズンが始まれば移動が多いので、家族ともあまり会えません。そのため本拠地の住まいはセカンドハウスで用が足りるケースも多いのです。またスター選手の場合、家族と会いたければ飛行機で遠征先に呼ぶことも可能です。子供がいる選手でもアメリカの夏休みは長いので、これを利用して一緒にいる時間を増やします」(同・友成氏)

 ロスで“本宅”を購入することに決めた大谷は、どのような理由からラ・カニャーダ・フリントリッジの豪邸を選んだのだろうか。

「大谷選手が購入した決め手は、『どれだけ早くドジャースタジアムに車で行けるか』だったのではないでしょうか。ドジャースタジアムで試合が開催される日は、ダウンタウンからスタジアムに向かう道路が渋滞します。ところがラ・カニャーダ・フリントリッジからスタジアムの道路は、球場を挟んでダウンタウンとは反対側なので、渋滞することは滅多にありません。さらに観客が殺到する時間より選手の球場入りは早いはずですから、快適なドライブが約束されています。恐らく自宅から数十分で着くのではないでしょうか。野球のことを第一に考える大谷選手らしい選び方だと思います」(同・友成氏)

“バブル感”がゼロの街

 大谷が睡眠を重視していることは有名だ。ひょっとするとラ・カニャーダ・フリントリッジに住むことで、睡眠時間が1分でも長くなるのかもしれない。

 大谷とラ・カニャーダ・フリントリッジの組み合わせが興味深い理由として、他にもう一つ「街の雰囲気」が挙げられるという。

「大谷選手はメジャー屈指のスター選手ですから、いわゆる“セレブ”の一人と言っていいでしょう。ロスでセレブが住む街と言えば、やはりビバリーヒルズです。ところがラ・カニャーダ・フリントリッジはビバリーヒルズのように派手な雰囲気がなく、上品で落ち着いた街なのです。私も以前、訪れたことがありますが、高いレベルの教育内容でも知られているため、日本企業の現地法人の幹部も住んでいました。ビバリーヒルズで感じるような派手な“バブル的要素”がゼロの街を大谷選手が選んだというのは面白いと思いました。ちなみにラ・カニャーダ・フリントリッジはどこを歩いても豪邸と警備員だらけで、セキュリティが厳重なことにも驚きました」(同・友成氏)

デイリー新潮編集部