2023年9月、Googleが検索エンジン市場において独占禁止法に違反しているかどうかを巡り、アメリカの司法省や州司法長官のグループが起こした訴訟の裁判が始まりました。その中で、iPhoneやiPadなどのApple製デバイスでデフォルトの検索エンジンになるためGoogleがAppleに支払った金額について司法省の弁護士が言及し、Appleの弁護士が抗議しました。

Apple raises secrecy protest at day 2 of Google anti-monopoly trial - The Washington Post

https://www.washingtonpost.com/technology/2023/09/13/google-apple-trial-secrecy/



Lawyer objects to claims about how much Google pays Apple

https://9to5mac.com/2023/09/14/how-much-google-pays-apple/

Googleは検索市場において圧倒的な優位性を誇っていますが、アメリカの司法省や州司法長官のグループは2020年に「Googleは検索エンジン市場で独占禁止法に違反している」と訴訟を起こしました。司法省などは、Googleはさまざまな慣行によって違法に独占状態を維持し、競争他社に対する不当な参入障壁を築いたと非難しています。

この訴訟の裁判が、2023年9月12日からワシントン連邦地方裁判所で開かれました。裁判は陪審員を用いずに裁判官のみで審理を行うベンチトライアルで実施され、2014年に当時のバラク・オバマ大統領から任命されたアミット・メータ判事が担当しています。

Googleが検索エンジン市場において独占禁止法に違反しているかどうかを巡る裁判がスタート - GIGAZINE



そんな裁判の初日に行われた冒頭陳述で司法省のケネス・ディンツァー弁護士は、GoogleはApple製デバイスのデフォルト検索エンジンであり続けるため、2020年に40〜70億ドル(当時のレートで約4300億円〜7500億円)をAppleに対して支払ったと述べました。

GoogleがApple製デバイスのデフォルト検索エンジンとしての地位を守るため、Appleに膨大な金額を支払う契約を交わしていることは以前から指摘されています。世界中で広く使用されているデバイスのデフォルト検索エンジンになれば、それだけGoogleに入ってくる広告収益も増加するため、この取り決めはGoogleのビジネスにとって非常に重要です。

テクノロジー系メディアの9to5Macによると、GoogleがAppleに支払った金額は2014年の時点で10億ドル(当時のレートで約1000億円)であり、その後次第に増加しているとのこと。2021年には、デフォルトの検索エンジンであり続けるため150億ドル(約1兆6500億円)をAppleに支払う可能性があると報じられています。



しかし、Googleがデフォルト検索エンジンの地位を守るためAppleに支払いを行っていることは広く知られている一方で、その正確な金額について両社は公開していません。AppleはGoogleとの契約で支払われる金額を「サービス部門」に統合し、正確な金額がわからないようにしているとのこと。

公にされていない契約金について司法省のディンツァー弁護士が触れた件について、Appleの代理人であるリャン・トラバース弁護士は裁判2日目の最初に抗議しました。トラバース弁護士は、司法省が言及した数字がAppleの機密情報から漏れたという「誤解」を招きかねないものであり、Appleの機密保持規則に違反した可能性があると主張しています。Googleのジョン・シュミットライン弁護士もこれに同意し、「ディンツァー弁護士の発言は、その数字が我々から明かされたものだという印象を国民に与えます」と述べています。

抗議を受けてディンツァー弁護士は、初日に言及した金額はGoogleやAppleからもたらされた機密情報ではなく、外部の情報源に基づくものだと説明。「この部分が抜け落ちていました」と釈明しましたが、それ以上の情報は提供しなかったとのことです。