中国国内では50基を超える原子炉が稼働している。写真は山東省の石島湾原子力発電所(中国華能集団のウェブサイトより)

中国国務院は7月31日、李強首相が主催する常務会議を開催し、山東省の石島湾原子力発電所、福建省の寧紱原子力発電所、遼寧省の徐大堡原子力発電所の3カ所で合計6基の原子炉の建設を認可した。

今回認可された6基は、具体的には中国華能集団が運営する石島湾原発の拡張プロジェクトの1・2号機、中国広核集団が運営する寧徳原発の5・6号機、中国核能電力が建設中の徐大堡原発の1・2号機。中国政府が原子炉の新設を認めたのは10カ月ぶりのことだ。

(訳注:徐大堡原発では3・4号機が2021年に先行して着工している)

これら6基のうち、石島湾原発と寧徳原発の4基はすべて中国が独自開発した第3世代原子炉「華龍一号」を採用。徐大堡原発の2基は、アメリカのウエスチングハウスが開発した「AP1000」をベースに中国が国産化した第3世代原子炉「CAP1000」を採用することとなった。

第3世代原子炉の建設コストは、1基当たり約200億元(約3976億円)とされる。今回認可された6基の総投資額は単純計算で約1200億元(約2兆3857億円)に上り、完成まで5〜6年を要する見通しだ。

運転中が54基、建設中が24基

中国政府は近年、原発新設の認可を加速しており、2022年は10基の建設にゴーサインを出した。年間2桁の新設を認めたのは、2008年の14基以来、実に14年ぶりのことだ。その背景には、(二酸化炭素を排出しない)クリーンエネルギーへの転換、電力需給のバランス調整、公共インフラ投資の拡大(を通じた景気下支え)など、さまざまな政策的要因がある。

過去10年余りの原発の建設状況を振り返ると、中国政府の認可件数には大きな起伏があったことがわかる。なかでも2016年から2018年にかけては、原子炉新設の認可が3年連続でゼロだった。これは日本の福島第1原発で深刻な事故が発生した後、中国でも社会的不安が高まった影響だ。

その後、中国政府は2019年から認可を再開。同年は4基、2020年は4基、2021年は5基の新設を決めた。


本記事は「財新」の提供記事です

中国原子力エネルギー協会の統計によれば、中国国内で運転中の(商用発電用の)原子炉は2023年4月末時点で54基、総設備容量は5682万kW(キロワット)に達し、首位のアメリカ、2位のフランスに続く世界第3位の規模を誇る。さらに、目下24基の原子炉を建設中であり、それらの総設備容量は2681万kWに上る。

(財新記者:趙煊)
※原文の配信は8月1日

(財新 Biz&Tech)