実りの秋に食べてほしい!野菜ソムリエおすすめの注目旬食材5選
プロが太鼓判を押す、秋の注目旬食材をご紹介!
栗やぶどう、かぼちゃなど、おいしい食べ物がたくさん実る秋。旬の食材を使った料理は、特別感があってなんだか幸せな気分になりますよね。
王道の旬食材も良いですが、少し深掘りすると、一部の地域でしか栽培されていないもの、生産量が少なくスーパーにあまり並ばないものもたくさんあります。
築地市場に店舗を構える築地米金は、さまざまな新鮮野菜が手に入る、いわば野菜のセレクトショップ。スタッフ全員が野菜ソムリエの資格を持ち、レストランのシェフにレシピの考案をするほど野菜に精通しているお店です。
スタッフである芹田さんにご紹介いただくのは、北は青森県、南は愛知県と全国から仕入れている選りすぐりの商品。それぞれの特徴だけでなく、芹田さんおすすめの食べ方も必見です!
1. 秋の珍味!『香茸(こうたけ)』
「こちらは、長野県産の香茸(こうたけ)と言い、松茸と同じくらい珍しい食材。9月末~10月が旬で、土壌の栄養が豊富な山に群生するきのこです。
焦がししょうゆのような芳ばしい香りが特徴で、近くに置いておくとふんわりと匂いがします。きのこ特有の苦味が少しありますが、噛むと凝縮された旨味が口いっぱいに広がり、クセになる味わいなんです。
基本的には、一度乾燥させてから使います。香茸を裂いて、平置きで2~3日自然乾燥させると長持ちしますよ」
山の珍味で作る炊き込みご飯は絶品!
「まず下処理として、乾燥させておいた香茸を水でもどし、灰汁を取り除きます。灰汁が強いため、調理する前に2回ほど煮出して黒い灰汁を出し切ってから使いましょう。
香茸を贅沢に堪能すべく、おすすめは炊き込みご飯!普段の炊き込みご飯と同じように炊けばOKです。芳ばしい香りと噛むと広がる旨味をぜひ楽しんでください。
また、香茸は香りが強いため、肉や野菜と一緒に炒めても風味を損いません。炒めものとも相性バッチリです」
2. 東北地方で採れる『みずの実』
「秋田県や青森県で親しまれている、みずの実は山菜。山菜というと春のイメージがありますが、みずの実は東北地方で採れる、秋が旬の “みず” という山菜の実なんです。
味にクセがないのでいろいろな料理に合います。シャキッとした歯応えがあり、噛んでいくとトロトロな食感に変わりますよ」
シンプルなお浸しで食感を楽しむ
「天ぷらにしても良いのですが、私はお浸しにするのが好きです。シンプルにしょうゆベースのお浸しにして、みずの実のおいしさを噛みしめます!
食感が楽しい食材のため、ゆですぎないように注意しましょう。ゆでると20秒程度で赤茶色の実が緑色になるので、色が変わったらザルに移して水を切り、味付けをしてください。ひと晩冷蔵庫で寝かせると味がしっかり馴染みますよ。
あとは、料理のメインとしてではなく、豆腐や茶碗蒸しの上にちょこんとのせるのもいいですね♪」
3. 変幻自在の秋野菜『真菰茸(まこもだけ)』
「ねぎのような見た目のこちらは、真菰茸(まこもだけ)と言います。きのこのような名前ですが、じつはイネ科の野菜。その年の気候等にもよりますが、おいしく食べられる旬は9月下旬~10月中旬頃と短いんです。ぜひこの時期に手にとってほしいですね!
ほんのりとやさしい味わいで、コリコリ、シャキシャキといった若竹とエリンギの中間くらいの食感が特徴です。調理するとやわらかくなるうえ、味にクセがないので、老若男女問わず親しまれています」
万能な真菰茸をホイル焼きで堪能
「緑色の皮をむき、さらにピーラーで内側の皮をむくと真っ白に。その白い部分を食べることができます。真菰茸は本当に万能な食材なので、煮るのも焼くのも良し、天ぷらにするのも良いですね!
おすすめはそうですね……、ホイル焼きなんてどうでしょうか。バターしょうゆで味付けをして、パプリカやかぼちゃなどで彩り豊かにすれば立派なおかずになりますよ」
4. コロンとしたフォルムがかわいい『ローゼル』
「ルビーレッドの色合いが美しいハイビスカスの実、ローゼル。気温の高いアジア圏内で栽培されることが多く、日本では富士山よりも南の地域で生産されています。今回の仕入れ先は愛知県です。
ローゼルは、ハイビスカスティーの原料で爽やかな酸味が特徴。フレッシュのままサラダにしたり、料理に使ったりもします」
ソーダで割って味わいや香りを楽しむ
「外側の赤い部分は果実で、中に種が入っています。基本的には果実部分のみを使うことが多いです。ローゼルの簡単な処理方法は、下部を5mmほどカットし、その部分を菜箸で先端に向けてぐっと押すやり方。ポロッと種が取れますよ。
料理に使うのもいいですが、初めてローゼルを手に取る方は、ソーダ割りがおすすめ。ローゼルの果実を好みでカットし、シロップ漬けにしたら炭酸水で割ります。色合いもきれいですし、お花が咲いたようでとてもかわいい仕上がりに♪ ローゼルの味わいや香りがダイレクトに楽しめます」
5. 江戸東京野菜の重鎮『内藤かぼちゃ』
「大きくゴツゴツした見た目の内藤かぼちゃ。東京で栽培をおこなう江戸東京野菜(※)独自のかぼちゃです。内藤かぼちゃの歴史は江戸時代まで遡ります。
信州の高遠藩主である内藤家の屋敷が現在の新宿御苑辺りにあり、そこで生産されていたことから内藤かぼちゃと呼ばれています。交配させていない在来種は、守り続けていくのも大変なんですよ。
本来なら、東京オリンピック開催と並行して、海外の方にも江戸東京野菜を広めたかったので残念でした。10月までが旬なので、この機会にぜひ食べてみてほしいです!」
(※)江戸東京野菜は、種苗が自家採種、もしくは近隣の種苗商で確保された江戸から昭和中期までのいわゆる固定種の野菜、または在来の栽培法等に由来する野菜のこと。
煮物にしやすい日本かぼちゃ
「西洋かぼちゃと比べると、ほくほくとした甘味はなく、ねっとりとした味わいです。皮が薄くて出汁をよく吸収し、煮崩れしにくいので、煮物にぴったりなんですよ。
ねっとり感があるので、ペーストにしてスープにしたり、お菓子やパンに使ったりもできます。見た目のインパクトで使いにくそう……と思われるんですが、じつはとても万能な食材なんです」
いろいろな旬食材を知って、秋の味覚を存分に楽しむ
「築地米金では、国産食材のみを取り扱い、通販ではなく対面販売にこだわっています。購入者の方(エンドユーザー)に直接レシピを伝え、農家の方の熱い想いを伝えることを大切に考えていますよ。
ご紹介した食材はどこででも手に入るものではありませんが、見つけたときのうれしさも旬食材の楽しみ方のひとつ。道の駅や直売所で購入できる場合もありますし、タイミングよく八百屋やスーパーで発見できることもあると思います」と芹田さん。
たまに冒険してみると、意外な発見があったり、毎年の楽しみが増えたりすることも。この記事でご紹介したものは、どれもちょっと珍しい品種ばかりです。プロが太鼓判を押す、秋の旬食材。見つけた際は、ぜひ手に取ってみてください。
取材・文・撮影/猪狩明日奈
取材協力
店舗名:築地米金
電話番号:03-6264-7747
最寄駅:都営大江戸線「築地市場駅」A1出口より徒歩3分
郵便番号:104-0045
住所:東京都中央区築地6-26-1 小田原橋棟E-11
市区町村:中央区
町域:築地6-26-1 小田原橋棟E-11
営業時間:6:00~14:30
定休日:日曜日・祝日・水曜日(市場場内休市日に準ずる)