ドライバーがイライラしやすいのは先進国に多い!

 クルマの運転中、ドライバーがもっともイライラするのは渋滞中ではないだろうか。カーナビが発達して、これから先の道路交通情報がしっかり分かったとしても、到着時間がいつもより遅れることで、当然イライラする。

 こうした状況はアメリカ、欧州、日本など、いわゆる先進国では同じようなもの。皆さん、イライラしている。

 一方で、東南アジアや南米などでは、”渋滞は日常生活の一部”として捉えて、イライラしてもしょうがないという雰囲気だ。

 こうした国は2000年代に入り、経済発展が一気に進み新興国と呼ばれるようになった。中間層の所得が増えたことで自動車販売台数が一気に伸びたにもかかわらず、道路などインフラ整備が追い付かず慢性的な渋滞に。都市部周辺の郊外から都心への通勤に、片道2時間から3時間なんてこともある。ここまでいくと、もうイライラを通り越して、諦めムードになってしまう。

アメリカでは日本よりもあおり運転が多い

 最近、日本でのドライバーのイライラといえば、あおり運転が挙げられる。後ろからあおられて、イライラ。または、遅いクルマに引っかかって、後ろでイライラ。

 こうした状況でも、渋滞でのイライラと同じく、欧米など先進国の状況は日本に似ている。それどころか、アメリカではあおり運転が日本より数多く見られる印象がある。一般的には、テール・ゲーティングと呼ばれる。もちろん、道路交通法違反である。

 一方、新興国だと、例えばインドではあおり運転というより、無謀運転に近い状況だ。高速道路では、車線に関係なくガンガン抜いていくので、結果的にあおり運転は少なく、ドライバーはイライラしない(?)。

 もうひとつ、日本ではとてもイライラする人が多い、車線合流での無理な割り込み。アメリカでもイライラする人が多く、過去にはグローブボックスに入っている拳銃を出して、割り込んだクルマに向かって発砲した事案もある。

 クルマの運転に限らず、銃社会のアメリカではイライラが重大事件に発展することが珍しくない。最近では、新型コロナウイルス感染拡大の影響で企業を解雇された人が、商業施設で発砲事件が起こしている。

 一方、東南アジアや中国では、割り込みされてイライラするというより、割り込みに対する”勝負意識”を感じる。「ほれほれ、どこまでやれる、さあやってみろ」、そんな雰囲気で、割り込まれることを半ば楽しんでいるようにも思える。もちろん、代償としての擦り傷は織り込み済みである。

 緊急事態宣言となった日本では、平日でも交通量が減って渋滞、割り込みがなくなりイライラも減った一方で、青信号で横断中の歩行者が信号無視のクルマに衝突して死亡する事件が多発している。

 外出自粛のイライラが、クルマの安全運転の妨げにならないよう、心掛けたいものだ。