『VAMP』(2019/日本/86分 R15)

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キングレコード主催の映画祭「ホラー秘宝まつり」が今年6回目を迎える。そこで「夏のホラー秘宝まつり2019」では8月23日(金)〜9月5日(木)の期間、キネカ大森(東京)、シネマスコーレ(名古屋)、シアターセブン(大阪)の3都市で同時開催(※名古屋と大阪は8月24日から)。さらにオープニング上映に小中兄弟による最新作『VAMP』(監督:小中和哉/原作・脚本:小中千昭)が披露され、現在公開中だ。

平成ウルトラマンシリーズでおなじみ、脚本の小中千昭さんと、監督の小中和哉さんによる久々の兄弟タッグ最新作となる『VAMP』では、『ウルトラマンネクサス』でヒロイン・斎田リコ役を演じた中丸シオンさんをはじめ、堀内正美さん、木之元亮さん、故・石田信之さん、大浦龍宇一さん、北岡龍貴さんら小中和哉監督と縁の深い俳優陣が勢ぞろい。
父親から虐待を受け続ける女子高生・「美以那」を高橋真悠さんが演じ、生きる希望を失い自暴自棄に陥った彼女の前に現われる謎の美女・「苓」を中丸シオンさんが演じる。自らを”ヘマトフィリア(血液耽溺者)”と呼び、”生きるに値しない”男たちを殺し血をすする「苓」が、傷ついた「美以那」を導いていく。そんな二人の前に美しきヴァンパイアの影が……。
そこで本作で魅惑のWヒロインを演じられた中丸シオンさんと高橋真悠さん、監督の小中和哉さんに、リアルと幻想が交錯する『VAMP』についてお話を伺った。

ーー今回どういった経緯でスタートしたんでしょうか。

小中和哉(以下:小中) これは兄弟(兄:小中千昭)での持ち込み企画なんですが、久々に兄貴とホラー映画の企画を一緒にやろうと。キングレコードの山口(幸彦)さんというホラー好きのプロデューサーがいるので持っていこうというところから始まりました。

ーーそこで「第6回 夏のホラー秘宝まつり2019」にと?

小中 いやそれはまだなくて。もともと僕は日本ビクターで『四月怪談』(1988年公開)を撮ったり、その後ポニーキャニオンで『くまちゃん』(1993年公開)を兄貴と撮ったり、ビデオ会社が映画をオリジナルで作る時代にデビューしたので、自主企画をビデオ会社に持ち込むことが多かったんですよね。当時、映画会社はやはり敷居が高くて、ビデオ会社のほうが小規模なオリジナル映画をやるにはやりやすかった。
それでVシネ(ビデオシネマ)がだいぶ壊滅状態のこのご時世の中、キングレコードはまだそういう映画に出資し続けている会社で、特にホラーのジャンルでは山口さんというプロデューサーがずっと『新耳袋』シリーズとかその他ホラー作品をたくさん作ってらっしゃるので、山口さんに何かホラー企画をもっていこうということになったんです。

ーーその時点でヒロインは決まってたんですか。

小中 その時点ではまだ未定です。ただ女性ヒロインでやろうというのは決まってました。話の基になった短編があって、それは兄貴が書いた『吸血鬼アンソロジー』に入ってる1本で、女性吸血鬼のショートショートなんです。これを基にやろうというアイデアが兄貴からあって、じゃあどうやったらいいかねっていうのが最初のストーリーの起点です。

ーーでは千昭さんのほうからヴァンパイアでという。

小中 僕からは別にヴァンパイアって言ってないですね。ホラー企画を何かやろうっていうところで兄貴が持ってきたのがその小説だった。

ーー中丸シオンさんと高橋真悠さんにはいつ頃オファーをされたんですか、それともオーディションでしたか?

小中 2年前ぐらいにキャスティングだったんです。『VAMP』のホン(脚本)ができて、それから具体的なキャスティング候補が出てきて、まずは中丸さんに声をかけました。