工作機械業界、生き残りへプロフェッショナル化とシェアリング
「素人の入り込む余地はまったくなくなっているだろう」。森雅彦DMG森精機社長は2050年の金属加工業界をこう見据える。モノづくりをきわめていけば加工対象物(ワーク)の精度、品質、信頼性の要求が一段厳しくなり、専門性の高い企業しか生き残れない。
森社長は取り扱いが難しい材料のワークが増えることで「完全な無菌、真空状態でつくるようになる」と指摘する。プロフェッショナルな世界になるゆえに、テナントビルに機械を並べたお手軽な駅前工場の出現など「うそ」と完全否定する。
数値制御(NC)装置の開発者だった金子雄二ソディック社長は「工作機械の制御も変わるかもしれない」とみる。メーカーの持つサーバーから顧客の何百、何千台の工作機械を制御するクラウド的な仕組みができれば、顧客は機械の導入コストを削減できる。
プロフェッショナルの世界と並行して、一般的な加工については機械のシェアリングが広がりそうだ。「米国では工作機械版の米ウーバー・テクノロジーズが登場した」(工作機械大手首脳)。米国全体の工作機械の稼働率は4割ほどにとどまるとされ、空いている工作機械を会員が共有するサービスだ。
シチズンマシナリー(長野県御代田町)は15年に、10年後の旋盤工場の予想図を示した。工場経営者が自宅で目覚めのコーヒーをすすりながら、ほぼ無人の工場の機械を稼働させる。
材料費や為替の変動を加味して自動見積もりし、採算が合うようにプログラム上で工程を組み直す。故障予測と予防保全がなされた機械がダウンすると、天井のロボットが故障部位を交換するといった具合だ。
わずか3年前に想定した世界だが、すでに機械の遠隔監視など一部は製品化された。変化は早い。
(文=六笠友和、名古屋・戸村智幸)
