オムロンが進める地上10メートルのモノづくり革新とは?
もっとスピードを
多品種少量生産が当たり前となる中、金型の生産性を高めることはこれまで以上に競争力へ直結する。そのため同社でも熟練技能者による経験と勘で、工具メーカーの推奨値を超える加工速度を追求し続けてきた。それでも「もっとスピードを上げられないか」という要求が高まっているという。
同社の金型は微細加工が必要で、使用する工具も最小0.2ミリメートル径と小径のものが多く、それだけ摩耗が進むと折れやすい。生産性向上には、送り速度を高めるなど加工条件を厳しくしなければならないが、余裕を持たせないと加工中に工具が折損しダウンタイムにつながってしまう。そんなトレードオフにどう折り合いを付け、最適な加工条件を限界まで追求していくか。熟練工を超えるための試行錯誤が始まったのは2年前だ。
「最初は主軸モーターの電流値から微細な振動を検出しようと考えたが、あまりに微少なためノイズに紛れてしまった」と、グローバルものづくり革新本部の山崎雄司技術士は振り返る。そのためワークの振動値を高分解能センサーで直接検出する今回の方法を採用した。そして加工抵抗値の閾値をどこに設定し、最適な加工条件をどのように設定するかというアルゴリズムを作り上げ、システムを完成させた。
加工時間は40%削減
振動センサーから3秒に一回送信されるデータを基に、NJは10秒ごとに制御データをMCへ送り込む。同時にこれらのデータはすべてネットワーク上のコンピューターに保存される。もともと熟練工が工具メーカー推奨値の1.3倍まで送り速度を引き上げて加工していたが、今回のシステムでは「3〜5倍まで高めることができた」(山崎技術士)。これにより加工時間は従来比40%も短縮。一方で工具の摩耗は同20%削減でき、その寿命は倍に伸びた。現在は3軸MCで、0.2ミリ〜6.0ミリメートル径の工具、加工材料は銅に対応。さらに5軸MCや焼き入れ後の金型加工にも拡大していく計画だ。
一方、綾部事業所の近接スイッチモジュールの組み立てラインでは、チョコ停発生を予防するシステムの実証に取り組んでいる。ロボットが微細な部品を組立装置の所定位置に挿入したり、取り外したりする工程で、9月から3ラインへ導入し効果を検証中だ。1ラインごとに、チョコ停が月間で4.5時間、部品ロスが1万3000円ずつそれぞれ低減することを見込んでいる。
