テキサス・レンジャーズ・ダルビッシュ有が、メジャー行きが確実視される後輩・田中将大について語った。

20日、「報道ステーション」では「ダルビッシュ有 田中将大を語る」と題し、野球解説者・工藤公康氏が行ったダルビッシュへのインタビューが放送された。

「みんなマー君を持ち上げ過ぎじゃないかな」と切り出したダルビッシュ。工藤氏が「今シーズン見られました?」と尋ねると、ダルビッシュは「最後のほう、日本シリーズとか見たんですけどね、今になって別にどうとかはないですよね。去年までも知ってますし、特別成長したとか、ここが変わったとかはないですけどね、僕は」とアッサリ。

「(今季)24勝ですか。それはどの選手にも可能性があるので。負けてもおかしくない試合もあるわけじゃないですか。1点取られても負けるのが野球のピッチャーで先発なので。それがなかったということですね。単純に」。こう続けたダルビッシュは、「なんていうのかな。24勝というだけで全てを判断してはいけないですよね。先輩として思う。何を見なきゃいけないかというと、あの子の、マー君の防御率をちゃんと見てあげる。1.2なんぼ(1.27)じゃないですか。それが僕はいいと思う。24勝は誰だって出来る可能性がある。防御率がすごいと思います。一番みんなが見なきゃいけないですね」とも――。

また、田中のメジャー行きについては、「僕も聞かないですし、本人も分からないでしょうから」と前置きしたダルビッシュだったが、「(スプリットは)あのコントロールが維持できるならバッターは振ると思います。スプリットは向こうで有効なので。ただ本人が力んだりしてスプリットのコントロールが変わってくるようであれば、日本ではヒットになっているやつがホームランになりますから」、「行く場所によってすごく変わると思いますね。やっぱり西海岸とか、エンゼルスとかドジャースとかパドレスとか。あっちのほうの球場は投手有利なんですよね。気候もいいですし1年間変わらないし雨も降らないし。ドジャースとかパドレスはナ・リーグなので。ア・リーグよりも絶対にピッチャーが成績を残しやすいですよね。(DH制がないので)ピッチャーがバッターにいるので」などと、さも田中にアドバイスをしているかのように語った。

さらに、メジャーで通用するためには「逃げないこと」と話したダルビッシュは、日米野球界の違いについても力説。「負けないっていう気持ちが強くないと。(メジャーは)バッターが向かってくる気持ちが全然違う。日本とアメリカの決定的な違いが、僕はそれが嫌だったんですけど、“最初から打てない”、“今日はマー君だから勝てない”と。そうじゃダメだろって。急に話が変わってますけど。今日はマー君だから仕方ないって、それを監督が言っちゃったら選手どうするのかって思うし勝負にならない。アメリカは絶対そんなことない」と持論を展開した。

その他にも、「(メジャーでは)3年目くらいまでは子供にしかみなされていないので、向こうは舐めてるんで。“日本だろ?”みたいな。“日本で7年、8年投げてんねんぞ”って言っても“だからなんだよ。ここでは何年だ?”って。そういうときに感じますね。日本の野球が認められてない。いくらWBCで勝っても向こうに行ったらそう感じます。なんとかしないと。岩隈さんと僕と黒田さんと、田中来たら、松坂さんとか。ピッチャー陣が4人とか5人になってくるじゃないですか。そしたらまた(メジャーにおける日本人や日本球界の印象が)変わってくると思うんで。周りの反応が。それをやりにいってるんで、僕は、けっこう」と想いを述べたダルビッシュは、工藤氏が「日本の選手が行きやすくなるように・・・」と話すと、「まあ、マー君が足引っ張らなきゃいいですけどね。嘘です、嘘です」と笑顔を見せた。