「背番号剝奪」問題もある。松井のメジャー移籍後、巨人は大型新人として入団した大田泰示に「55番」を譲渡した。前出・巨人担当記者が語る。

「この時点で松井は巨人に、それまでほどの仁義を感じなくなってしまった。本当に松井を戻したいのなら、巨人は55番を空けておくべきだったのです。それが引退したから急に戻ってきてくれと言っても、誠意は伝わりづらい」

 両者のわだかまりが残ったままの状態でのラブコールに、松井がなびかないのも当然なのである。

 さらに、仰天の裏事情も浮上した。複数の現地関係者によると、松井はすでに実業家として商売を始めており、しかもそれが軌道に乗っているというのだ。読売グループ関係者も、声を潜めてこう話す。

「松井が巨人関係者を通じて非公式に、巨人に戻る気があるかと打診された際、ニューヨークで商売を始めていて順調だとの話をしたらしい、と‥‥」

 それも、きたるべき引退を見越して、現役時代から始めていた、との情報も。

 いったいその商売とはどんな内容なのか。先の現地関係者が証言する。

「ニューヨークに日本人オーナーが経営する和食レストランがあり、松井は現役時代、よく食べに行っていました。この店は昨秋、閉店しましたが、オーナーとは公私ともに懇意にしている間柄で、オーナーは松井のキャンプを見に行ったりしていた。で、オーナーは08年、『ニューヨークに新しい日本料理レストランを出す』と言っていたのですが、その店名が『ヒデ』でした。もちろん松井の名前から取ったもので、松井本人も了承している、と。松井はこの新店舗の共同出資者になっているらしい、とのことなのですが」

 松井の知人はこの情報に対し、「基本的にケチな男だから、絶対に儲かるとわからなければ出資しないタイプだと思うんですけどねぇ。あるいは、よほど信用している人でないと」

 と話すが、日本人メジャー選手のサイドビジネスは前例があり、不思議なことではない。「木田優夫はシアトルで日本料理店を経営していますよ。昨年のシーズン中、ダルビッシュ有がツイッターで『木田さんの店に行ってきました』とつぶやいています。木田はシアトルに親しくなった人物がいて、その人に出資する形で売り上げの何%かを受け取っているわけです」(前出・現地関係者)

 このように当分の間は日本に戻る理由も意思もない松井。勝手な妄想を抱く巨人と、期待するファン。何とも物悲しいことか‥‥。